牧師 司祭 バルナバ 前田 良彦
東京聖テモテ教会の牧師をしていた時に三年程、教会を借りてダウン症のお子さんと健常児の混合保育をする「ひよこ教室」と関わったのですが、今もなお、印象深い思い出になっています。
入園式、硬い表情をした新入園児保護者が席につきます。真ん中には子どもたち。そして反対側には表情がとても柔らかな先生方と安心している在園児保護者たち。N先生が、「皆さん、一年経つとあちら側のお父さん、お母さんのような安心した笑顔になります。だから頑張りましょうね」と声をかけます。
わたしは障がいを負わされた親たちの呻くような思いや涙を見てきていますが、「ひよこ教室」の先生たちが子どもも保護者もキチッと受け止められるその生き方にとても深い共感を覚えます。
教会入り口のハナミズキ
一年後、新入園児の保護者が、在園児の保護者として席を移すと本当に安心した笑顔になっていました。子どもと親に沿う保育者の姿に改めて教えられたように思います。保護者の方々も自分の子どもと生きる覚悟を教室から学んだのでしょう。さまざまな命を大切にする見方を身につけたのだと思います。
その前は浅草聖ヨハネ教会で心臓に障害を持つ自主グループの「こばと園」の活動を見てきました。大きな経済的負担を強いられることにより更に家族の苦しみが深くなることも多いのですが、関係する全ての人たちが互いに支え合う姿が私にはとても大事なこととして見えました。
「ひよこ教室」、「こばと園」の子どもたちや先生、保護者の皆さんが「生きることとはこういうこと」と教えてくれているような気がします。