聖霊降臨後第15主日 2012年9月9日(日)

 

マルコによる福音書 7:31 - 37


31それからまた、イエスはティルスの()(ほう)()り、シドンを()てデカポリス地方(ちほう)(とお)()け、ガリラヤ()へやって()られた。 32人々(ひとびと)(みみ)()こえず(した)(まわ)らない(ひと)()れて()て、その(うえ)()()いてくださるようにと(ねが)った。 33そこで、イエスはこの(ひと)だけを群衆(ぐんしゅう)(なか)から()()し、(ゆび)をその(りょう)(みみ)()()れ、それから(つば)をつけてその(した)()れられた。 34そして、(てん)(あお)いで(ふか)(いき)をつき、その(ひと)()かって、「エッファタ」と()われた。これは、「(ひら)け」という意味(いみ)である。 35すると、たちまち(みみ)(ひら)き、(した)のもつれが()け、はっきり(はな)すことができるようになった。 36イエスは人々(ひとびと)に、だれにもこのことを(はな)してはいけない、と(くち)()めをされた。しかし、イエスが(くち)()めをされればされるほど、人々(ひとびと)はかえってますます()(ひろ)めた。 37そして、すっかり(おどろ)いて()った。「この(かた)のなさったことはすべて、すばらしい。 (みみ)()こえない(ひと)()こえるようにし、(くち)()けない(ひと)(はな)せるようにしてくださる。」

新共同訳聖書


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今日の福音は耳が聞こえず舌の回らない人を(いや)す奇跡の物語。6章から奇跡が続くが最後の奇跡となっている。マルコ福音書だけに出てくる奇跡だが、奇跡に至る動作が細かく記されている。イエスは「深い息をつく」が、この言葉は聖書では圧迫や苦難のゆえに引き起こされる「ため息」を意味している。しかもこのため息はそこから解放されたいという願いがある。パウロのロマ書では「うめき」と表現されている。パウロは(ぜん)被造物(ひぞうぶつ)と聖霊とキリスト者の「うめき」について述べています。イエスは耳がふさがれ、舌が回らない人の苦しみを自分の身に引き受けて深い息をついて「エッファタ」と叫ぶのです。このことによって耳と舌が開かれ人間を自由へと解放するのです。人間のうめきをイエスはうめいてくださる。そして神にわたしたちを()()すうめきとなるのです。

牧師 司祭 バルナバ 前田(まえだ) 良彦(よしひこ)


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