最も重要な掟
28彼らの議論を聞いていた一人の律法学者が進み出、イエスが立派にお答えになったのを見て、尋ねた。「あらゆる掟のうちで、どれが第一でしょうか。」
29イエスはお答えになった。「第一の掟は、これである。『イスラエルよ、聞け、わたしたちの神である主は、唯一の主である。
30心を尽くし、精神を尽くし、思いを尽くし、力を尽くして、あなたの神である主を愛しなさい。』 31第二の掟は、これである。『隣人を自分のように愛しなさい。』この二つにまさる掟はほかにない。」
32律法学者はイエスに言った。「先生、おっしやるとおりです。『神は唯一である。ほかに神はない』とおっしやったのは、本当です。
33そして、『心を尽くし、知恵を尽くし、力を尽くして神を愛し、また隣人を自分のように愛する』ということは、どんな焼き尽くす献げ物やいけにえよりも優れています。」
34イエスは律法学者が適切な答えをしたのを見て、「あなたは、神の国から遠くない」と言われた。もはや、あえて質問する者はなかった。
新共同訳聖書
◆今週の福音書は律法学者が「あらゆる掟のうちでどれが第一でしょうか」と問います。本田哲郎神父の翻訳を見ますと、「第一はこれである。わたしたちの神、主は、唯一の主である。心のそこから自分のすべてをかけ、判断力を駆使して、力のかぎり、あなたの神、主を大切にせよ。第二はこれである。あなたの隣人を、自分自身のように大切にせよ。」とあります。この翻訳を見て、神を大切にするということは人間に委ねられていることで、「『判断力を駆使』することが求められている」というのは一人一人の存在を本当に大事にしてくれているのだと思います。神さまに委ねるというのは自分で考えることを放棄することではないのです。
牧師 司祭 バルナバ 前田 良彦