バルナバ栄一の『「信仰・希望・愛」の展開の物語』 第七部 その2-(1)鳩

「信仰・希望・愛」の展開の物語

 第七部 《愛なる神》 溢れる愛 満たす愛 沁み込む愛(その2)

  聖 霊の愛(総括)


   神の愛は、教会と云う共同体形成の為に必要なさまざまの能力をその構成員に与えます。
しかし、その多彩な能力や働きが、《エクレーシア》と呼ばれる一つの有機体(キリストの体)を形成するの は、その様な能力を与える霊の質が《アガペー》であるからです。愛(アガペー)が孤立した人間の集合を一つ の生命的有機体とするのです。愛がなければどのように賜物としての能力が華やかに現れても、それは個々の人 間を誇らせるだけであって、共同体の一体性と云う本来の目的にとっては、何の役にも立たない空騒ぎにしか過 ぎません。
 愛が共同体を形成する原動力であるのは、愛が人と人を結びつけるいのちの力であるからです。人間の生まれ な がらの本性に深く巣食っている自己中心の性質を克服して、相手の価値や資格に関係なく、無条件に受け入れ、 共に生きようとする力です(Tコリント13章、「愛は忍耐強い。愛は情け深い」。前述参照)。「神の愛」ア ガペーこそキリストにある者の倫理の総体であり、愛を本質とする聖霊こそ倫理の唯一の原動力です。このコリ ント第一書簡では、キリストに所属する者の実際的な問題に対処することを通して、「キリストにあって生き る」ということはどういうことであるかを示し、その様な形でキリストの福音を提示しています。そして、最後 に聖霊の賜物が論じられる時、その「倫理」が出てくる源泉、すなわち聖霊の賜物としての愛(アガペー)が明 らかにされます。(だから13章は、この「Tコリント」と云う書簡の頂点であると云えます)。

 このように、キリストはご自分に属する民に賜物「カリスマ」として聖霊を与え、その聖霊によって愛《アガ ペー》と云う新しい質の命を注ぎ、生まれながらの人間本性とは別の新しい人間性を生れさせ、その愛によって 今まで世界が知らなかった、新しい (終末的な)共同体を形成させるのです。


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聖書

 

バルナバ栄一の『「信仰・希望・愛」の展開の物 語』

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