2012年12月9日(日)開演14:30~
会場:日本聖公会 東京教区 聖マーガレット教会
はじめに
出演者
プログラム 第1部
第2部
出演者プロフィール
前田司祭と出演者
第1回チャリティーコンサートのメンバーである、3人のオペラ歌手(秋吉 邦子さん、坂井 美樹さん、小貫 岩夫さん)と、ピアニスト(平山 晴子さん)によるクリスマス・チャリティーコンサートが実現しました。
2部構成で、第1部はクリスマスにふさわしい心に染み透るような曲を、第2部ではオペレッタ(軽歌劇)を中心とした楽しい曲を集めてくれました。後半の、オペレッタ「こうもり」と「猫の三重唱」では歌手3人の歌と演技と表情に、聖堂内が笑いと拍手に包まれました。約200人近くの方々にご来場いただき、多くの義援金が寄せられました。これらは東日本大震災被災者の復興支援のために日本聖公会「いっしょに歩こう!」プロジェクトの働きや当教会の被災地支援活動のために使わせていただきます。
ご降誕の準備の時に、教会の小さな働きが、今回のクリスマス・チャリティーコンサートとなり、多くの方々に支えられ心温まる会になったことは大きな喜びです。出演者、スタッフ、ご来場された多くの方々に感謝致します。今なお東日本大震災の被災地で苦しむ人々と、その復興への道に、希望の光が与えられますよう心からお祈りいたします。
秋吉 邦子(ソプラノ)
坂井 美樹(ソプラノ)
小貫 岩夫(テノール)
平山 晴子(ピアノ)
1.Panis Angelicus 天使の糧 セザール・フランク(Cesar Franck, 1822-1890) 作曲 (ベルギー出身、フランスで活動)
坂井 美樹(ソプラノ)/平山 晴子(ピアノ伴奏)
この曲はフランクが以前作曲していた『荘厳ミサ曲』にあとから付け加えた曲で、聖体祭賛歌です。歌詞の意味は「天使の糧(かて)は人々の糧になり、天の糧は形あるものを終わらせられる。おお、なんという驚き、主よ食するのは貧しき、貧しき虐げられし僕(しもべ)。」「糧(かて)」とは「聖餐式」でいただくパンのことです。
2.「神の子羊」ジョルジュ・ピゼー(Georges Bizet, 1838-1875)作曲(フランス)
小貫 岩夫(テノール)/平山 晴子(ピアノ伴奏)
ビゼーの劇音楽「アルルの女」より間奏曲。劇音楽ではアルトサックスのソロの響きが印象的ですが、のちにミサ曲の最後に歌われるAgnus Dei(神の子羊)の詩がつけられて歌曲としても歌われるようになりました。神の子羊とは人間の罪の贖いのため、自らを生贄としてささげたイエス・キリストのこと。クリスマスの定番ということもあり、カルーソーのようなイタリアの大テナーから、新進のボーイソプラノに至るまで、さまざまな歌手によって歌われてきました。
3.「メサイア」より「シオンの娘よ、喜び、讃えよ」 ゲオルク・フリードヒ・ヘンデル(Georg Friedrich Händel, 1685-1759)作曲(ドイツ出身、イギリスに帰化)
秋吉 邦子(ソプラノ)/平山 晴子(ピアノ伴奏)
「メサイア」は「メシア」(救世主)の英語読みに由来し、主に旧約聖書から歌詞を取り、イエス・キリストの生涯を題材とした独唱曲・重唱曲・合唱曲で構成されています。今回は、その第1部16曲目。歌詞の意味は「シオン、これはエルサレムのことです。シオンの娘だちよ、喜びなさい。見よ、救い主であるあなたの王が来ます」で、クリスマスにふさわしい曲です。
4.アルプスの羊飼いの娘 ジョアキーノ・ロッシーニ(Gioachino Antonio Rossini, 1792-1868)作曲(イタリア)
秋吉 邦子(ソプラノ)/平山 晴子(ピアノ伴奏)
ロッシーニの歌曲集「音楽の夜会」全12曲の中の第6曲目。詩はカルロ・ペポリによるもので、チロル民謡を取り入れた、軽快な歌です。歌詞は「夜明けにやってくる人はかわいいバラやつややかなリンゴを手にすることができます。私の庭においでなさい。」というもの。
5.オペラ「ジャンニ・スキッキ」より「私のお父さん」 ジャコモ・プッチーニ(Giacomo Puccini, 1858-1924)作曲(イタリア)
坂井 美樹(ソプラノ)/平山 晴子(ピアノ伴奏)
プッチーニの作曲した全1幕のオペラで、中年男のジャンニ・スキッキを主人公とする、プッチーニ作品としては珍しい喜劇です。このアリアはジャンニの娘ラウレッタが「大好きな人と結婚指輪を買うために協力してほしい」と父親に懇願する曲です。
青空見たら 綿のような雲が
悲しみをのせて とんでいった
武満徹「小さな空」から
6.小さな空 武満徹(1930-1996)作詞・作曲(日本)
小貫 岩夫(テノール)/平山 晴子(ピアノ伴奏)
ラジオ・ドラマ『ガン・キング』(1963/TBSラジオ)の主題歌。合唱曲組曲「うた」として混声合唱のアカペラで歌われることの多い曲です。
7.ホワイトクリスマス アービン・バーリン(Irving Berlin, 1888-1989)作詞・作曲(ロシア生まれ、アメリカに移住)
秋吉 邦子/坂井 美樹/小貫 岩夫/平山 晴子(ピアノ伴奏)
世界中で愛されている最も有名なクリスマス・ソングの一つ。バーリン自身がこの歌を秘書に記譜させながら、最高の歌を作ったと語ったとのエピソードが伝わっています。
「私は夢見ています、ホワイト・クリスマス。1枚1枚クリスマスカードを書きながら、あなたが楽しく、明るく過ごせますように、あなたのクリスマスが銀世界でありますように」
8.ふるさとの四季より「冬」 源田俊一郎 編曲
秋吉 邦子/坂井 美樹/小貫 岩夫/平山 晴子(ピアノ伴奏)
作曲家、源田俊一郎が編曲した合唱のための曲です。唱歌「故郷」を軸に季節感溢れる数々の文部省唱歌を織り込んで日本の四季をたどる、ピアノ伴奏付メドレー。今回は「冬」の部分から最後までを3重唱で。
9.愛の夢 第3番 フランツ・リスト(Franz Liszt, 1811-1886)作曲(ハンガリー生まれ、ドイツ・オーストリアで活躍)
平山 晴子(ピアノ独奏)
ピアノの魔術師とも呼ばれるリストによって作曲された「3つの夜想曲、ノクターン」という副題を持つピアノ曲。当初はドイツの詩人フライリヒラートの詩「おお、愛しうる限り愛せ」の詩を用いた歌曲として作曲されましたが、後にリスト自身により、ピアノ独奏曲として編曲されたものです。
10.オペレッタ形式のミュージカル「学生王子」よりセレナーデ ジグムンド・ロンバーグ(Sigmund Romberg, 1887~1951)作曲(アメリカ)
小貫 岩夫(テノール)/平山 晴子(ピアノ伴奏)
ドイツの架空の公国の王子カール・フランツがハイデルベルクヘと留学に出ます。そこで暮らすことになった下宿屋の娘、ケティに心惹かれ、二人は愛しあうようになります。ある夜散歩していた王子は窓辺のケティの姿を見て、心の内を歌い上げます。
11.オペレッタ「こうもり」より「公爵様、よく見て」ヨハン・シュトラウス(Johann Strauß II, 1825-1899)作曲(オーストリア、後年ドイツ国籍)
秋吉 邦子(ソプラノ)/平山 晴子(ピアノ伴奏)
ワルツ王として知られるJ.シュトラウス2世のオペレッタ。ウィーンの侯爵、アイゼンシュタインは酔って役人を殴ってしまい、刑務所に入ることに。しかしその夜、奥方のロザリンデには内緒で舞踏会に出かけてしまいます。この家のメイド、アデーレは社交界にあこがれていて、これまたご主人には内緒で「女優」というふれこみで舞踏会に紛れ込みます。ところが、会場でばったり顔を合わせてしまい、アイゼンシュタインに「お前はうちのメイドじゃないか?」と疑われます。このアリアでアデーレが慌てることなく、「そんなわけないでしよ!」とやり込めます。
12.オペレッタ「こうもり」より「チャールダーシュ」
坂井 美樹(ソプラノ)/平山 晴子(ピアノ伴奏)
先のアリアの後、今度は奥方ロザリンデが変装して登場します。ロザリンデは、夫が刑務所に行かずに遊んでいる上に、アデーレが自分のドレスを着ていることに腹をたて、夫をとっちめることを決意します。一方アイゼンシュタインもこの伯爵夫人に目をつけ、妻とはまったく気が付かずロ説きはじめます。そこへ人々がやってきて仮面の女性の正体を知りたがりますが、彼女はハンガリーの民族舞踊チャールダーシュを歌って「私はハンガリー人よ」と言います。
13.オペレッタ「こうもり」より「なぜ?なぜ?」
秋吉 邦子/坂井 美樹/小貫 岩夫/平山 晴子(ピアノ伴奏)
話は少し前に戻り、刑務所に行くことになったアイゼンシュタインは妻に礼服を出してと言います。彼は言い訳をしつつ、刑務所ではなく舞踏会へ行こうとします。
まるで夫が自分だけ楽しみにいくようだと察知した妻は、それなら自分も……と決心し、小間使いのアデーレにその夜、暇を出します。アデーレはうそを言って暇をもらい喜んで舞踏会へと出かけていきます。三人三様、悲しいふりをしつつ、ついつい舞踏会へ行けるうれしい気持ちを抑えることができません。
14.オペレッタ「こうもり」より「乾杯の歌」
秋吉 邦子/坂井 美樹/小貫 岩夫/平山 晴子(ピアノ伴奏)
舞踏会の締めくりに派手に歌われるのがこの「乾杯の歌」。
シャンパンを讃え、みんなで飲み明かそう!と明るく歌われるこの歌は、ウイーンらしさが満載で、1番、2番、3番、と歌が進むにつれ、テンポが速くなっていきます。
15.猫の三重唱
秋吉 邦子/坂井 美樹/小貫 岩夫/平山 晴子(ピアノ伴奏)
この曲はロッシーニ作「猫の二重唱」として知られています。しかし、本当はイギリスのRobert Lucas Pearsall(1795-1856)がデンマークの作曲家Ernst Friedrich WeyseのKatte-Cavatine(猫のカヴァティーナ)とロッシーニの歌劇「オテロ」のアリアに彼自身の曲を加えて編曲したものだそうです。大変真面目な歌曲ですが、タイトル通り、最初から最後まで、歌詞は「みゃ~みゃ~」と猫の鳴き声のみです。原曲は二重唱ですが、今回は3人で、ユーモラスな演技も加えて三重唱として歌われました。3匹の猫達が作る軽妙なドラマに拍手が鳴り止みませんでした。
秋吉 邦子 (ソプラノ)
合唱指揮者/ヴォイストレーナー
声楽を及川慎、二俣宣子、羽根田宏子、小林研一郎の各氏に師事。1992年東京オペラ・インスティテュート研究科修了。 91年9月東京オペラ・プロデュ-ス公演「ビバ!ラ・マンマ」のルイジア役でオペラデビュー。92年ロッシーニの「オテロ」でエミーリアを好演、安定感を加えた。 93年「ロメオとジュリエット」(日本初演)のステファノ、94年公演でも同役、95年と98年「ベアトリースとベネディクト」のエロー、96年と98年ワーグナー「恋はご法度」の修道女マリアーナ、 97年「ロメオとジュリエット」ではジュリエットを演じ、好評を得た。同年6月と99年4月「ハムレット」のオフィーリアを好演。2000年・2002年「無口な女」のアミンタを演じる。2004年J・オッフェンバック「天国と地獄(地獄のオルフェ)」のキュピドン役を好演。 ソロ活動では、94年1月と6月に東京と岡山でリサイタルを成功させている。99年2月大阪フェスティバルホールでの「朝日名曲コンサート」に出演、関西デビューを果たす。「第九」をはじめモーツァルト、フォーレの「レクイエム」、マーラー「一千人の交響曲」のソリストとして出演。98年度村松賞受賞。
坂井 美樹 (ソプラノ)
大阪音楽大学音楽学部声楽専攻主席卒業。大阪音楽大学大学院オペラ研究室修了。
1999年にイタリアミラノに留学。
モーツァルト作曲オペラ「フィガロの結婚」のスザンナ役の他、様々なオペラに出演。
特に故岩城宏之指揮、黛敏郎作曲のオペラ「金閣寺」(女役)は東京・大阪で公演され、全国放映された。また桂小米朝(現5代目米團治)とともにオペらくごにも出演。
その他多くのコンサートに出演。
細川維、高須礼子、田原祥一郎、ブルーノ・ダル・モンテ、ビアンカ・マリア・カゾーニ、田中千都子の各氏に師事。
二期会準会員
小貫 岩夫 (テノール)
同志社大学、大阪音楽大学卒業。文化庁オペラ研究所11期修了。数々の主要コンクールで優勝・入賞経験を持つ。音大在学中に堺シティオペラ「魔笛」のタミーフ役に抜擢されテオ・アダムらと共演しデビュー。同役でドイツ・ケムニッツ市立歌劇場に招聘され地元紙より好評を得る。1998年文化庁派遣ミラノへ留学。現在オペラ、ソロリサイタル、立大メサイア・ソリストなど各方面で活躍。二期会会員。
平山 晴子(ピアノ)
武蔵野音楽大学 音楽部器楽学科ピアノ科卒業。
在学中ザルツブルグ モーツァルテウム夏期講習に参加、修了演奏会に出演。
卒業後、同音大の文化学園ピアノ講師を務める。
また、長年、日本合唱指揮者連盟会長 故佐々金治氏の伴奏ピアニストを務める。
ピアノを山岸麗子、井上百合子、長岡純子、A.シュラーに師事。指揮・伴奏を甲斐正雄、オルガンを高橋明子に師事。