8月26日(日)14:30~
会場:日本聖公会 東京教区 聖マーガレット教会
ニュルンベルク国立歌劇場オーケストラ団員を含む多数の音楽家の方々に東日本大震災被災者支援の主旨にご賛同頂き、第9回チャリティコンサートを当教会にて盛大に開催することができました。
残暑厳しい中にもかかわらず、250人近くの皆様にご来場いただき、チケット以外にもお心のこもった沢山の義援金が寄せられ感謝いたします。
音楽の後、ホールで観客の方、出演者の方、スタッフ皆で「冷たいスイカ」を食べながら、歓談の時を持ちました。
当日の収益金、義援金の全てを東日本大震災被災者の復興支援に役立たせていただきます。
プログラム
出演者プロフィール
ニュルンベルクと国立歌劇場オーケストラ
◆開演ファンファーレ
チューバ/稲田達雄
コンサートは突然のチューバの響きで始まりました。
◆開演の祈り
聖マーガレット教会牧師の前田良彦司祭が、まだまだ復興の進んでいない被災地の現状を語り、あの悲惨な現実を忘れない取り組みについて話して、開演の祈りを献げました。
「祈りましよう。恵み深き神さま、今日はさまざまな人のお支え、取り組みによって第9回のチャリティーコンサートを始めることができます。どうぞこの音楽を通して私たちも豊かに癒され慰められ、そして支援の道を歩むことができますように。このひと時を見守ってください。
この祈りを主イエス・キリストの御名によってみ前にお献げいたします。アーメン」
◆1◆J.S.バッハ:ソナタよりシシリアーノ
チューバ/稲田達雄
ピアノ/ヴェルナー・ディルマン
今回の出演者の内、稲田さんをはじめ4人の方がカンマームージカという称号を持っていらっしゃいます。これは楽団で8年以上活動された演奏家に与えられる称号です。
◆2◆テレマン:トランペットソナタ 二長調より第1楽章
トランペット/ベルント・ツィンマーマン
オルガン/ヴェルナー・ディルマン
ベルント・ツィンマーマンさんはトランペット演奏家として活躍を続けるかたわら、20年以上にわたり、各地の吹奏楽団を指導して、その演奏向上に努めた功績により、ホルスト・ケーラー元大統領より勲章授与しています。
◆3◆モーツァルト:ディヴェルティメント
二長調よりメヌエット
クラリネット/ペーター・ライヒ
ピアノ/ヴェルナー・ディルマン
クラリネットは1700年代にニュルンベルクの時計屋さんで作られた楽器だと言われています。モーツァルトは誕生したばかりのクラリネットに大変興味を持ち、この楽器に重要な役割を与えた作品を多数残しています。
◆4◆モーツァルト:歌劇『魔笛』よりアリア"なんという美しき絵姿"
テノール/小貫岩夫
ピアノ/ヴェルナー・ディルマン
チャリティーコンサートには何度も参加してくれている小貫さんは、ご自身のデビューとなった思い出の『魔笛』タミーフ役のアリアを歌ってくれました。大蛇に追われた王子タミールは、「夜の女王」配下の3人の侍女達に助けられます。王子は侍女たちに見せられた女王の娘パミーナの美しい絵姿(肖像画)に恋に落ち、悪人ザラストロに捕らえられているというパミーナの救出を決意します。
◆5◆ドボルザーク:ルサルカ
ソプラノ/貝島まこと
ピアノ/ヴェルナー・ディルマン
貝島さんは、稲田さんのお知り合いということで、このコンサートに参加してくださいました。ルサルカはドボルザークが作曲したチェコのオペラ。この日は第一幕のアリア「月に寄せる歌(白銀の月)」。森の湖に棲む水の精ルサルカは人間の王子に恋をし、その気持ちが王子に届くようにと月に託して歌います。
◆休憩◆
◆6◆モーツァルト:アダージオ K.540
ヴァイオリン/ベルント・ブース
ピアノ/ヴェルナー・ディルマン
ベルント・ブースさんはニュルンベルク国立歌劇場オーケストラのコンサートマスター。ベルリン国立音楽大学ではチューバ奏者の稲田さんと一緒でした。
◆7◆チャイコフスキー:ノクターン Op.19 No.4
チェロ/田中友子
ピアノ/本野洋子
現在は国内で活躍されているチェリストの田中さんは、かつてニュルンベルクで演奏活動をされていました。田中さんの仲介により、今回のチャリティーコンサートが実現しました。
◆8◆ヴェルディ:歌劇『椿姫』より乾杯の歌
ソプラノ/貝島まこと
テノール/小貫岩夫
ピアノ/ヴェルナー・ディルマン
小貫さんの情熱を込めた力強い独唱に、貝島さんが加わり、華やかなデュエットで歌い上げると、観客席からブラボーの声がかかりました。
◆9◆ブラームス:ピアノ・トリオ No.1 変ロ長調 Op.8より第1楽章 アレグロ・コン・ブリオ
バイオリン/ベルント・ブース
チェロ/田中友子
ピアノ/ヴェルナー・ディルマン
ニュルンベルク歌劇場オーケストラでコンサートマスターを務めるベルント・ブースさんは、前日夜まで、満足のいく音作りを追求して3人で徹底的にこの曲のリハーサルを繰り返しました。当日のプログラムを締めくくる圧巻のトリオでした。
演奏後、拍手の中で、出演者全員に子供たちから赤いバラの花が贈られました。
◆アンコール
拍手は鳴り止まず、稲田さんが他のメンバーと相談して、アンコールを受けてくれました。
●宵待ち草
ヴァイオリン/ベルント・ブース
ピアノ/ヴェルナー・ディルマン
●さくら
クラリネット/ペーター・ライヒ
ピアノ/ヴェルナー・ディルマン
稲田達雄 チューバ (カンマームジカー)
武蔵野音楽大学卒。ベルリン国立芸術音楽大学卒。ニュルンベルク国立歌劇場オーケストラ団員。ニュルンベルク国立音楽大学講師。ドイツチューバ協会会員。1984年カンマームジカーの称号を受ける。1989年日独交流コンサートを始める。2006年演奏活動40年表彰状授与。
ヴェルナー・ディルマン ピアノ
ブラウンシュバイク生まれ。9歳よりピアノを始める。ニーダーザクセン州音楽学校で学び1996年ハノーファー音楽大学でピアノと指揮法を学ぶ。カベルマイスターとしてコーブルク州立劇場、ニュルンペルク国立歌劇場で活動。ニュルンベルク国立音楽大学で教鞭をとる。
ベルント・ブース ヴァイオリン (カンマームジカー)
ベルリン国立音楽大学卒。ニュルンベルク国立歌劇場オーケストラ団員、コンサートマスター。
ベルント・ツィンマーマン トランペット (カンマームジカー)
デトモルト州立音楽大学卒。ニュルンベルク国立歌劇場オーケストラ団員。ホルスト・ケーラー元大統領より勲章授与。作曲及び地元のブラスバンドの指揮などで活動。
ペーター・ライヒ クラリネット (カンマームジカー)
1972年ヴュルツブルク州立音楽大学に学び卒業後ヴュルツブルクハーモニックオーケストラ入団。1976年ベルリン・カラヤンアカデミーに入学。1978年ニュルンベルク国立歌劇場オーケストラ入団。1983年よりニュルンベルク国立音楽大学講師。
出演者と聖マーガレット教会のスタッフたち
田中友子 チェロ
上野学園音楽大学付属音楽高校卒業後、パリ・エコール・ノルマン音楽院にてレイヌ・フラシュ教授に師事。ディプロマ取得。その後ニュルンベルク市立音楽院(現国立音大)にてハウスエッカー教授に師事。バイエルン州国家認定チェロ教師資格取得。ニュルンベルク・コレギウム・ノリクムの団員としてオーケストラ、室内楽の分野で活動。帰国後フリーのチェロ奏者としてソロ、オーケストラ、室内楽多数出演。チェロの指揮にも力を注ぐ。
貝島まこと ソプラノ
武蔵野音楽大学卒業後、直野資(なおのたすく)氏に師事。ソプラノ歌手としてコンサート活動。後進の育成のため指導活動も行っているる。
小貫岩夫 テノール
同志社大学、大阪音楽大学卒業。文化庁オペラ研究所11期修了。数々の主要コンクールで優勝・入賞経験を持つ。音大在学中に堺シティオペラ「魔笛」のタミーフ役に抜擢されテオ・アダムらと共演しデビュー。同役でドイツ・ケムニッツ市立歌劇場に招聘され地元紙より好評を得る。1998年文化庁派遣ミラノへ留学。現在オペラ、ソロリサイタル、立大メサイア・ソリストなど各方面で活躍。二期会会員。
本野洋子 ピアノ
東京都立芸術高等学校を経て武蔵野音楽大学ピアノ科卒業。同大学院修了。同大学卒業後演奏会出演。現在、武蔵野音楽大学附属音楽教室講師。國學院大學人間開発学部ピアノ実技トレーナー。
ニュルんベルクはドイツ バイエルン州の第2の都市で、リヒャルト・ワーグナーの楽劇『ニュルンベルクのマイスタージンガー』の舞台としても知られ、中世から栄えてきた都市です。
インターネット検索をするとニュルンベルク州立歌劇場と紹介されていることもありますが、各州の自治権が強いドイツにあっては、州からの援助が多い歌劇場でも国立歌劇場と訳されることが多く、ニュルンベルクについても、国立歌劇場で間違いないとのことです。
国立歌劇場の団員はニュルンベルク フィルハーモニーオーケストラとメンバー的には重なっています。これはウィーンのオペラハウスとフィルハーモニーの団員が重なっているのと同じです。