聖路加国際大学 聖ルカ礼拝堂

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2024年3月24日 復活前主日(2024/03/22)

「キリストは…人間の姿で現れ、へりくだって死に至るまで、それも十字架の死に至るまで従順でした」(フィリピの信徒への手紙2:8)
エジプトでの苦役からの解放を記念する「過ぎ越しの祭り」が近づいていたエルサレムには全国から多くの人びとがエルサレム神殿を目指して集まってきていました。人々は日ごろからイエスがなさっておられた癒しや赦しの出来事を新しい解放のしるしと受けとめて大いなる期待を寄せていました。それで彼らは「ホサナ。主の名によって来られるかたに 祝福があるように」棕櫚の枝をかざして迎えるのでした。「ホサナ・万歳」と熱狂する彼らは、しかしやがてそのイエスを「十字架につけろ」と叫ぶ、暴徒と化しています。人間に巣喰っている何と深い強欲またご都合主義であることでしょうか?十字架上のイエスは「わが神、わが神、なぜ私をお見捨てになるのですか」と神への「嘆きの歌」を口にされます。しかし、これは同時にまさに絶望そのものの叫びに他ならないでしょう。この叫びこそイエスの「死に至るまで・・父なる神に従順」であられる姿であり、この従順と服従によってわたしたちが自らの手に「神」(偶像)を所有して救いを実現しようとする高慢な姿勢への挑戦でありましょう。イエスの神と人々への「従順」の前に私の思い上がりは徹頭徹尾打ち砕かれないではおられません。しかし、そこに救いがあるという逆説(パラドックス)こそが福音でありましょう。 (司祭 バルナバ 関 正勝)

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