TopPage Office Special Diocese Schedule Menu



57年目の長崎原爆記念禮拝

2002年8月15日平和アピール

伊東宏師の主教按手、就任式

アジア・パシフィック地区移住労働者宣教協議会






















TopPage Office Special Diocese Schedule Menu



       57年目の長崎原爆記念礼拝    
九州教区 −2002年8月9日−   
 1945年8月9日、11時02分長崎に原爆が投下され、一瞬のうちに7万4千人余の命が奪われ、さらに7万6千人余が深く重い傷を受けました。

 今年は57年目になります。長崎聖三一教会は29名の犠牲者を出しています。長崎教会では毎年原爆記念礼拝を行ってきました。8月9日は平日であることが多く、婦人会が中心になって長いあいだ守っていました。3年前より五十嵐正司九州教区主教がかかわりを持たれ、教区宣教局も共催するようになりました。

 今年は、世界中の人々が平和を求めている中で、長崎の57年前の出来事を覚え、平和について深く考えることを少し広げて見ようと企画しました。

 そして、日本聖公会首座主教宇野徹主教に礼拝説教をお願いいたしました。快くお受けくださいまして、歴史的に記念すべき礼拝が行われました。戦後はじめて首座主教が長崎の原爆を覚え、神の前に跪き、平和の祈りを共にしたのです。

 宇野徹首座主教は説教の中で三つのことを訴えられました。第一のことは、「原爆投下によって大きな被害を受け、苦しみ悩み、悲しく辛い思いをなさっている人々の中に立ち、その人々の思いを共有することが大切であり、報復はものごとの解決にはならない」とのご指摘でした。第二に、「核兵器の廃絶と平和な世界を創り出すには、政治を政治家に任せておくのではなく、私たちの問題としてしっかりと見つめ、積極的に関係していく責任を負っている」と語られました。第三に、「戦争を起こす根底は、弱肉強食の論理(力の論理)による支配である。しかし、真の平和は、弱い立場におかれた人達、いと小さき者が尊ばれ、互いに尊重し、互いに仕え合う世界を築くことである」と訴えられました。

 礼拝後、被爆者であるお二人の信徒の方からの証言をお聞きいたしました。一人は高橋ヨネ子姉です。

 高橋姉は中心地から1キロ離れた渕中学校に勤めておられ、壊れた校舎の下敷きになり、助かった方です。もう一人は、西本信夫兄です。西本兄は学徒報国隊として精密工場で働いておられ、夜勤明けで帰宅直後でしたので助かった方です。お二人のお話は生々しいお話でした。しかし、食事を共にしているとき、「本当はもっともっと悲惨でした。これ以上のことは話せませんでした」と語られたことが印象的です。

 「平和について」深く考えさせられる一日でした。参加者(70名)一人ひとりは、さまざまな思いを持って自分の居場所に帰って行ったと思います。

 私は、平和を求める集いが長崎だけでなく、広島との協働の業として発展することを願っています。 (司祭 濱生 正直)






TopPage Office Special Diocese Schedule Menu



       2002年8月15日 平和アピール
平和アピールは、8月初めに皆様にお送りできるように準備しておりましたが、全くの事務上の不手際で送られないままになってしまいました。大変にご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。遅くなってしまいましたが、お詫びとともに「8月が過ぎ去っても、いつも平和を願っていたい」との思いで掲載させていただきます。 
総主事 三鍋 裕
提 言
一、
主日をはじめ、さまざまな教会の集いの時に、祈祷書の代祷に加えて、今日の日本が思想・信教・良心の自由を奪い、武力を行使して戦争に加担する国とならないように、そして私たちが、主の正義と平和の証し人として行動できるように、祈り合う機会を多く作りましょう。

個人の尊厳と非戦非武装平和の立場が、つねに主のご意思であることを改めて確認し、今日の日本をめぐる危機的状況と主の福音の言葉を正しく理解するために、教会や家庭集会等で学習会等をもつように努めましょう。

その上で、私たちが生きているそれぞれの場所から、「主の正義」に背き、「主の平和」をおびやかすいかなる事がらに対しても、「否!」という姿勢をはっきりとっていきましょう。(「ヤコブの手紙」5:12)


 日中戦争、アジア・太平洋戦争に敗れ、戦争に訣別してから57年になります。それでもなお繰り返し私たちが「8.15平和アピール」を出さなければならない今日の日本の状況をよくよくかみしめたいとおもいます。

 この一年間、まず昨年8月13日には小泉首相が、突如、靖国神社に「公式」参拝を強行して、日本の軍事主義化を憂える韓国・朝鮮や中国の民衆の心情を逆なでする傲慢不遜な態度をとりました。つづいてアメリカのニューヨークで9.11事件がおこり、ブッシュ大統領によるテロ殱滅と称する一方的な米軍のアフガニスタン侵攻がはじまりました。この事態を日本政府はかねての懸案であった平和憲法体制切り崩しの絶好の機会ととらえ、すばやく国会でテロ対策特別措置法、「改正」自衛隊法等を成立させ、10月にはいち早く海上自衛艦をインド洋に派遣して戦闘中の米艦を支援し、またたく間に「戦争する国」に踏み込んでしまいました。12月には東シナ海の公海上で、海上保安巡視船が「不審船」を撃沈し、日本民衆には、ブッシュ大統領が勝手に極付けている「ならず者国家」が日本周辺にも存在していることを示唆し、国防上の危機意識と不安感をあおっています。

 今年に入ると、小泉首相は1999年に成立した「周辺事態法」とセットになるべき有事法制の早期整備を表明し、4月には靖国神社の最大の宗教行事の一つである春季例大祭の初日(21日)にふたたび「公式」参拝を強行して、憲法に規定する政教分離の原則を公然と踏みにじりました。そしてその直後に、有事法制関連三法案(「武力攻撃事態対処法案」、「安全保障会議設置法改正案」、「自衛隊法『改正』案」)を国会に上程し、審議に入っています(さらにこれにあい前後して、マスコミ規制法ともいうべき「個人情報保護法案」「人権擁護法案」を国会に上程しています)。この三法案は、「周辺事態法」をさらにエスカレートさせた文字通りの戦争法案です。つまり、世界最大の覇権国アメリカが日本の周辺で恣意的に起こす武力行使を、日本が後方で支援するにとどまらず、アメリカ軍と共に自ら進んで武力を行使して、戦争する主体となることを想定した法案です。これは非戦非武装を永遠に世界に誓約した日本国憲法の前文と第9条を真っ向から否定し、無視する行為にほかなりません。このような法案は、本来現行の憲法を廃棄しない限り国会で審議すること自体許されない性格のものです。

 さらにこれに連動して、沖縄でも米軍の基地は縮小されるどころか、アメリカの9.11事件以降の世界戦略の拡大強化にともなって、アジアにおける米軍出撃の最先端拠点としてその重要性が見直されようとしています。最近では、普天間基地に代わる巨大な最新鋭基地を名護市沖につくり、日本政府と共謀して沖縄を恒久基地化しようと図っています。基地のない平和で豊かな沖縄を求める沖縄県民の悲願は、ふたたび踏みにじられようとしています。

 さらに7月24日の政府見解によると、武力攻撃事態への対処という「高度の公共の福祉のため」には、国民の「生命・自由・幸福追求の権利や思想・信仰・良心の自由が制約を受けることはあり得る」という驚くべき発言が、なんのためらいもなくなされています。
昔は「天皇制国家」、今は「公共の福祉」という名の下に、人間の生命、人間の尊厳、人間の内面の自由が軽々しく扱われようとしています。戦前の大日本帝国憲法下の国家総動員体制にまさるとも劣らないファッショ的状況が、なし崩し的に私たちの足下にひたひたと押し寄せています。事態はまことに深刻であり、激しい憤りと悲しみをおぼえます。同時に「平和の主」を信ずる私たちも、このような事態を今日にいたるまで見過ごし、黙認してきたことはなかったでしょうか。私たちは、8月15日を「主の正義と平和の福音」の原点として覚え、いかなる戦争の論理にもからみ取られない平和の理念を、心に刻む時としたいと思います。

 1996年5月の日本聖公会第49(定期)総会で私たちは「日本聖公会の戦争責任に関する宣言」を可決採択しました。そこでは戦前の日本聖公会が「他民族支配や戦争協力をキリストの名において肯定し、教勢の拡張や体制の維持のみを目ざす閉ざされた教会にとどまり、主の福音が示す『地の塩』としての役割を果たすことができなかった」ことを告白しました。そしてこの「戦争責任の告白を全教会が共有すること」を誓約しています。

 今年の8月15日にあたって、今一度この告白を想起し、主の前でふたたび同じ過ちを犯さないために、私たちが今生活し、働いている場所―教会で、職場で、家庭で、学校で、さまざまの集いで、「主の正義と平和の福音」を大胆に証しし、行動していきましょう。

 「御言葉を行う人になりなさい。自分を欺いて聞くだけに終わる者になってはいけません」 
二、
三、
                          (「ヤコブの手紙」1:22)
        2002年8月15日
日本聖公会   
     正義と平和委員会






TopPage Office Special Diocese Schedule Menu

     伊東宏師の主教按手、就任式 
─ ブラジル聖公会サンパウロ教区 ─
 ブラジル聖公会サンパウロ教区伊東宏被選主教の主教按手・就任式は去る7月28日、サンパウロ教区聖パウロ大聖堂に、ブラジル聖公会主教11人と、海外より日本聖公会首座主教代理としての植田仁太郎東京教区主教、Mark Siskニューヨーク主教、Fernando Soaresポルトガル福音監督教会主教、スーダン聖公会 Nathaniel Garang主教の14人の主教に加えカトリックの2司教、他教派の多くの代表者の臨席の下、グラウコ総裁主教の司式にて、大聖堂一杯の約500人の会衆の見守る中、厳粛に執行された。

 これにより伊東主教はサンパウロ教区第4代主教として着座された。伊東新主教は奇しくもちょうど40年前の1962年7月、東京教区後藤主教とブラジル聖公会中央教区シェリル主教との話し合いで、東京教区聖職候補生から、ブラジルの日系人伝道を目的としてブラジル聖公会に移籍された。

 サンパウロにてブラジル聖公会神学大学で4年間勉学の後、執事、司祭按手を受けられ、約35年間ブラジル人教会及び、日系人教会にて牧会に当たって来られた。サンパウロ教区はサンパウロ州とパラナ州を管轄におき、聖職35人、信徒7千人の教区で信徒の3割は日系人で、日系聖職も伊東主教を含め、8人の聖職が在籍する。

 伊東新主教は奈良基督教会出身の62歳。日本で結婚された澄子夫人の間に3人の息女、また4人のお孫さんがおられる。立教大学キリスト教学科では関神学院校長の1年後輩、また植田主教の1年先輩であられた。

 日本国籍保有の日本人が海外で主教に選出されるのはもちろん初めてのことである。サンパウロ教区はポルトガル語会衆、日本語会衆、英語会衆が共存する国際的な教区でもある。
(ブラジルからのメール)






TopPage Office Special Diocese Schedule Menu

《海外出張報告》 
アジア・パシフィック地区移住労働者宣教協議会
名古屋学生青年センター総主事 池住 圭

参加国及び参加人数
フィリピン ・フィリピン聖公会 4名 ・フィリピン独立教会 2名
韓国 ・大韓聖公会 2名 インド ・南インド教会 1名
香港 ・独立教会 2名 日本 ・日本聖公会 1名  計12名

内容(プログラム)
6月8日 参加者紹介〜歓迎夕食会、オリエンテイション
6月9日 6:30am 聖餐式
9:30am〜 フィリピン聖公会首座主教挨拶
第1部 移住労働者の現状報告
第2部 「99年香港協議会」以降の各国の移住労働に関する現状と教会の働きに関する報告
第3部 各国の報告に関する質疑応答、分かち合い
6月10日 8:30am〜 ・聖書研究
 ・「99香港協議会」以降の動きと今後の計画についての協議
 ・声明ドラフト作成
6月11日9:00am〜 ・「Cry out Now」協議会参加(米軍のフィリピン駐留に関する学習と協議会)
 ・「アジア・パシフィック地区移住労働者協議会」声明採択
 ・今後の活動計画、エヴァリュエイション
 ・閉会祈祷
本協議会は、グロバリゼイションの進む中、移住労働者に関する諸問題は教会が取り組むべき重要課題であると再確認し、以下の事項の確認と共に、今後の取り組みについて協議決定した。

確認事項:
1. グロバリゼイションが政治的にも経済的にも人々を混乱に陥れ、多くの人が国や家族を離れ、移住労働者として外国で働かざるを得ない状況になっている。失業率の上昇は移住労働者を生み出す根本原因になっており、貧しい者はますます貧しくされている。
2. 移住労働者の本国家族への送金により、送り出し国、受け入れ国両政府及び両国の斡旋業者が大きな利潤を得ている。また、受け入れ国においては、権利を主張しにくい移住労働者を低賃金で雇用し、雇用主が大きな利益を得ている。このような現実は、人間の商品化に他ならない。
3. 受け入れ国における経済危機は、移住労働者の生活を脅かしている。殊に、韓国や日本における資格外労働者や超過滞在者のおかれている状況や、香港での反移住労働者政策に象徴されるように、彼らの人権がますます侵される状況になっている。
4. 一方で、移住労働者に関する諸教会の取り組みも次第に活発になってきている。殊に、これまでは、送り出し国だけの問題として捉えられがちだったものが、受け入れ国である韓国、香港、日本との連携の中で活動がより多様化し、より活発になってきている。更に、「ミグランテ・インタナショナル」が「国際移住労働者協議会」を開催し、これが「移住労働者国際連盟」設立の動きにつながってきている。

今後の取り組み:
1. 情報の交換、広報活動
 ・機関誌や出版物の交換 ・ケーススタディー
 ・ヴィデオなど記録の作成 ・移住者の本国教会の移住先教会の連絡
2. 教育活動
 ・活動団体の相互訪問、相互研修
 ・移住労働者を生み出す「開発」地域訪問
 ・移住労働者の家族訪問
3. 情報・宣伝活動
 ・移住労働者の人権擁護及び生活改善のためのキャンペーン活動
 ・移住労働者同士の結びつきが強められるような支援活動
4. その他
 ・移住労働者に対するカウンセリング、牧会など
5. 協議会を隔年に開催することとし、「第3回協議会」を2004年に韓国で開催することを決定、フィリピン聖公会、香港聖公会(APMM)、日本聖公会、フィリピン独立教会の代表者に加え、大韓聖公会の代表者がコーディネイティング・ティームを作ることが決定された。コーディネイティング・ティームによる準備会は年1回開くこととし、招聘の任はフィリピン聖公会が担う。
* * * * * * * * * * *
 国連などの推計によると、世界各地に約1億2000万人(内難民は約1800万人)が母国を離れて外国で暮らしている。アジア諸国では1500万人前後が外国へ働きに出ており、この内、日本を含む東アジアを中心とした地域だけでも、500〜600万人が「外国人労働者」として生計を立てているとみられている。

 日本では、戦後一貫して「入管法」によって外国人の就労が原則的に禁止されている。しかしながら、1989年の先進国蔵相会議(G5)以降の急速な円高の進行は、日本とアジア諸国との経済格差・賃金格差を拡大し、これら諸国から労働者の日本国内への流入を増大させた。

 このような中、日本に生活する外国人労働者数は約67万人にのぼり、他に25万人〜26万人の超過滞在者がいるといわれている(1999年法務省入国管理局資料に基づき外務省が推計)。バブル経済の崩壊後もこの数に大きな変化はなく、むしろ帰国できない労働者の定住化が進んでいる。このような人達(ニューカマー)の間ではベビーブームが起こっており、二世、三世の時代にさえなって来ている。

 もはや「人の移動のグロバリゼイション」を完全にとめることはできない。こうした流れが不可避であれば、グローバル化に対応して、私たちの地域や教会はその体制を転換していかなければならない。「異質」を抱える社会、教会こそが健全な社会、教会のありようなのではないだろうか。カトリック教会では、会衆のほとんどがブラジル人やフィリピン人であることも決して珍しいことではないと聞く。
2000年に、「ジュビリー2000子どもキャンペーン」が移住労働者を保護者に持つ子どもたち600人に対して、主に健康と教育、国籍に関する聞き取り調査を東海地区で行ったことがあるが、彼らの保護者の出身国は10カ国以上にのぼった。この中には中国、韓国及びイスラム圏の子どもたちは含まれていない。ちなみにこの600人中152人の子どもが無国籍状態におかれていた。

 このような状況は決して遠い世界のことではない。去る7月7日に中部教区・名古屋聖ステパノ教会において、「国際子ども学校」の6人の生徒が堅信の恵みに与ったが、この日は聖堂の3分の2以上が名古屋市内で働くフィリピン人によって占められ、この6人全員が日本で生まれ育っていながら、無国籍状態におかれているのである。

 私たちの地域に生活する移住労働者と日本で生まれ育つ彼らの子どもたち。このような人々に対して、この度の協議会で話し合われた事柄をどのように実施していくのか、どのように教会の門を開いていくのか、私たちは大きなチャレンジを受けているように思う。コーディネイティング・ティームの一員に日本聖公会も推挙され、この協議会での役割を日本聖公会のどの機関が、どのように担っていくのかを、総主事初め関係諸機関と相談しながら進めていきたいと考える。殊に、管区の機構改革が進められていこうとしている中で、このような海外との協働を担うことのできる委員会なりワーキング・ティームなりの創設の必要性を痛感する。