2025年3月9日 大斎節第1主日(C年)

 

執事 サムエル 藤井和人

軌道に乗る?

 天気予報に欠かすことのできない情報が、日々気象衛星から私たちのもとに送られてきます。人工衛星は、どのように地球の周りをまわっているのでしょうか。いわば、ロケットが打ち上げられてから、どのように軌道に乗るのかと、とても興味を持ったことがあります。
 「軌道に乗る」ということは、なにも人工衛星に限らず、私たちの人生においても、言えることです。「軌道に乗る」を辞書で調べてみますと、「順調に物事が進む」と書いてありました。私たちは、仕事においても普段の生活においても「順調に物事が進む」ように考え、行動します。
 けれども、私たちの人生は、そのように「軌道に乗る」ことの方が少ないのではないでしょうか。むしろ、不完全な私たちは、失敗もしますし、たびたび困難な壁にぶち当たります。そのように、私たちは、いつも軌道から外れてしまう。ですから、私たちの人生において、大切なことは、むしろその都度、自分自身を見つめ直し、軌道修正をしていくということなのだろうと思います。
 今日のルカ福音書では、40日間、イエスさまが悪魔からの誘惑を受けられたエピソードが語られています。現代に生きる私たちも、日々悪魔からの誘惑を受けます。それはつまり、端的に申し上げれば、自分の力だけで生きようとする自己中心的な生き方への誘惑ということなのでしょう。私たちは、そのような悪魔からの誘惑と日々葛藤しながらも、自分の力ではなく、いつも神さまに守られ、神さまに支えられながら生かされているのだということを、祈りの内に、その都度、思い起します。
 いつも軌道から外れてしまう私たちですが、日々の祈りの中で、悪魔からの誘惑に打ち勝たれたイエスさまに支えられながら、これからも軌道修正をしていきたいと思います。