2024年10月20日 聖霊降臨後第22主日(B年)

 

司祭 サムエル 小林宏治

「ヤコブとヨハネの願い」【マルコによる福音書第10章35節から45節】

福音書の小見出しは「ヤコブとヨハネの願い」です。
ヤコブとヨハネは兄弟です。そして、この二人はイエス様の弟子でした。
二人は、他の弟子たちと共に、イエス様に従い、イエス様の働きのお手伝いをしていました。
その二人がある時、イエス様にお願いをしました。
「先生、お願いすることをかなえていただきたいのですが。」
彼らが願うことは何かとイエス様は聞かれました。
二人は次のように言いました。
「イエス様が栄光をお受けになるとき、わたしどもの一人をあなたの右に、もう一人を左に座らせてください。」
イエス様のような偉い人の右や左に座ることはとても名誉なこと、うれしいことです。
ヤコブとヨハネもそれを求めました。
このことを他の弟子が聞いていました。そして、二人の兄弟に腹を立てました。
なぜなら、自分たちも、同じように、イエス様の隣に座りたいと思っていたからです。
そこで、イエス様は皆を呼んで言われました。
「あなたがたも知っているように、人々の間では、支配者(偉い人)と見なされている人が人々を支配し、権力をふるっている。しかし、あなたがたの間では、そうであってはならない。あなたがたの中で偉くなりたいものは、皆に仕える者になり、一番上になりたいものは、すべての人の僕になりなさい。」「人の子は仕えられるためではなく仕えるために、また、多くの人の身代金として自分の命をささげるために来たのである。」このように教えられました。

人にはいろいろな願いがあります。その中で、権力を持ちたい、みんなの上に立ちたい、認められたいと思うものです。イエス様の右や左に座ることは、一番良い席に座ることです。上座に座るということです。
上に立ち認められたいと思うことは、わたしたちだれでも持っているものだと思います。その思いに対して、イエス様は、偉くなりたい人ほど、皆に仕えるようにと言われました。この世の価値観に縛られないようにと。イエス様は言葉だけでなく、その行いによってそのことを示されました。イエス様は、困っている人を助けられました。いつも弱い人のことを思い、心を痛められました。何とかして助けたいと思われました。自分のためだけに生きるのではなく、他の人と共に、人に仕えることをわたしたちも大切にしたいと思います。