司祭　ミカエル　藤原健久

十字架抜きの愛はない。【ヨハネ１２：２０−３３】

　「一粒の麦は・・死ねば多くの実を結ぶ。」「この世で自分の命を憎む者は・・永遠の命に至る。」これらはすべて十字架を示す言葉です。そしてイエス様は、それらの言葉の冒頭に、「人のことが栄光を受ける時が来た」と仰いました。「今こそ十字架が始まる」と、弟子たちに伝えたのです。
　この言葉が語られた状況に、思いを馳せます。数人のギリシア人がイエス様に会いに来て、弟子たちが取り次ぎました。これは、イエス様の愛の教えが、国を超え外国人にまで伝わり、そして弟子たちが外国人を受け入れら事を示します。つまり、愛の交わりが豊かに広がったことを示しているのです。これは大きな喜びです。そしてこの喜びが、十字架に結びついたのです。
　愛は本質的に十字架を含んでいます。愛は私達に喜びと同時に、苦しみも与えます。例えば、子どもを授かることは喜びですが、子育てには多大な苦労が必要です。愛が大きくなればなるほど、私たちは十字架に近づくのです。
　イエス様はこの時、どのような表情をされていたのでしょう。私は大きな喜びの表情だったと思います。愛は、十字架の苦しみと復活の喜びをもたらします。希望をもって愛の道を歩みましょう。