2024年2月18日 大斎節第1主日(B年)

 

司祭 ルカ 柳原健之

 1月1日能登を震源とする大きな地震が起きました。私は富山に住んでおりますので、本震と余震を経験しました。本震が怖かったのはもちろんのことなのですが、続けてやってくる余震にも常に注意を払っていました。小さな揺れから大きな揺れになっていくのではないか、余震が来るたびに警戒をしていました。1週間くらいは常に気を張っていたと思います。地震発生から40日以上が経ち、富山の方では余震は落ち着いてきたものの、能登の方では続いているようです。今も恐怖や苦しみの中におられる方々の側に主が共にいてくださり、守ってくださいますように。

 大斎節第1主日には古来からの伝統に従って、イエスが荒れ野で悪魔から誘惑に遭う物語が読まれます。今年はマルコによる福音書1章9〜13節です。洗礼を受けられたイエスは霊に導かれて荒れ野に送り出されます。そこに40日間留まり、サタンからの誘惑を受けられたのです。
 ただでさえ荒れ野という過酷な状況の中で、イエスはサタンからの誘惑を受けられました。どのような誘惑を受けられたのでしょうか。またいつ来るか分からないサタンからの誘惑に、きっと気が休まる時はなかったことでしょう。また、「野獣と一緒におられた」と記されていますから、そちらにも注意を向けておられたと考えられるので、緊張が解けない時はなかったはずです。イエスはそのような状況の中で40日間過ごされたのでした。

 マルコによる福音書において、イエスがどのような誘惑に遭ったのか、どのようにこの40日間を過ごされたのかについて詳細には記されていません。イエスは日々神への思いを新たにしつつ過ごされたのではないかと想像します。荒れ野で、サタンそして野獣がいる中で守られながら生きることが出来ることに感謝を捧げながら過ごされていたのだと思います。

 非日常に陥った時、私たちは神に助けを求め、そして守られていることに安堵をいたします。ただ、本来的には一日一日が神によって守られていることを改めて覚えなければなりません。何気なく過ごすことが出来ているその背後に神の御手があるのです。特別な40日間だけに感謝をするのではなく、日々を支えてくださっている神に感謝を覚え、過ごしていきたいと思います。