2024年2月4日 顕現後第5主日(B年)

 

司祭 ダニエル 鈴木恵一

 今年は2月4日が日本聖公会のハンセン病問題の理解が深まるように祈る主日です。日本聖公会は、ハンセン病の療養所に関わりが深く、いまも教会や礼拝堂があります。この病気に苦しむ人とともに歩もうとした歴史があります。日本でも、この病気にかかった人は、家族のもとを離れて暮らさなければなりませんでした。そして、病気に対して強い不安や偏見は、治療方法が確立し、うつりにくい病気であることが分かった後も続きました。そして、日本聖公会はその偏見をとりのぞくための働きが十分にできていないという反省から、この祈りの日が決められました。
 病いと疎外に苦しむ人に、イエスさまがなさった出来事をとおして、わたしたちの思いも深めていきたいと思います。

 イエスさまはシモンとアンデレの家に行き、シモンのしゅうとめの熱をいやされ、もてなしをうけました。そして夕方になると、イエスさまにいやしていただきたいという人々が続々と集まってきました。その人々をイエスさまは癒され、ここでも悪霊を追い出されます。熱をだしているシモンのしゅうとめに、イエスさまは「手を取って起こされ」ました。この手を取って起こすというイエスさまの姿は印象的です。イエスさまは病気の人に触れて、その人をいやされました。イエスさまに触れられることは、病気の人に大きな励ましだったことでしょう。人を苦しめる力が追放され、その人が神さまとのつながり、人とのつながりを取り戻すこと、それがイエスさまがなさったことでした。

 これまで活発なイエスさまの姿が記されていましたが、夜明け前、まだ暗い内にイエスさまは、静かに祈りの時をもたれました。イエスさまは、神さまからの導きを求めて祈るとき、人々の前から退かれ、ひとりで静かに祈りの時をもたれます。
 冬の朝の日の出前、空気も澄んでいるこの季節は、深い青い光に包まれます。町の音もまだ静かな時間、わたしたちも神秘的な気持ちなります。わたしたちは、大きな課題に直面したときほど、心は乱されなすべきことが分からなくなります。具体的な指針を得ることを求めます。神さまは沈黙の内にも語りかけてくださることを思い起こし、一人一人の祈りの中で、静かに受け取りたいと思います。