2023年8月27日 聖霊降臨後第13主日(A年)

 

司祭 ヨハネ 荒木太一

ペトロの末裔に誓う

 「この岩の上にわたしの教会を建てる」マタイ福音書16章18節

 神とは必ず誓いを果たす存在です。イエスさまはペトロとその末裔である私たちを「わたしの教会」と呼び、「死の力から守る」(16:18)と誓われました。だから私たちがペトロのようにどれだけ主イエスさまを誤解し、疑い、裏切っても、神は必ずその誓いを果たして「主の教会を清め守り、恵みと力によっていつまでも堅く保って」くださるのです。(特祷)

 ペトロの信仰告白には誤解がありました。彼の「メシア(油注がれた王)、生ける神の子」(18:16)とは独立戦争の指導者でした。だから直後には十字架を妨げて叱責されたのです。霊的な解放を軍事的な解放と誤解していたのです。また、ペトロは湖の上を歩く場面ではイエスさまを疑い、ゲッセマネでは眠りこけ、そして大祭司の中庭で愛する先生を裏切って、激しく泣いた人です。

 誤解と、疑いと、鈍さと裏切り。しかしこれらにも関わらず復活の主イエスさまは、ペトロへの祝福の誓いを守り、全てを赦して世界に広がる教会の礎にされました。

 愛するイエスさまからの赦し。これがペトロの体験した「天の国の鍵」であり、「結んだり解いたり」して伝える教えであり、私たちが受け継いだ信仰です。赦しとは、過ちにも関わらず最初の愛を貫くことです。主はペトロの信仰告白への祝福の誓いを、裏切りにも関わらず、貫かれたのです。

 私たちは洗礼と聖餐式で声を合わせて告白します。「主イエス・キリストを信じます。」それなのに実態は、赦しの岩に立たず、悪い力に負けてしまいそうです。

 しかし主は、何度赦しを忘れても、悔い改める人を必ず赦し最初の誓いを果たされます。

 「あなたがたはペトロの岩に建てわたしの教会。ペトロの末裔だ。わたしは必ずあなたを守る。」