2023年3月12日    大斎節第3主日(A年)

 

司祭 ミカエル 藤原健久

生きた水【ヨハネ4:5−42】

 これは、大いなる奇跡の物語です。それは、対立している人々が和解し愛し合う、という奇跡です。敵対する人々が和解するのが、どれほど難しいことか、私たちは身に染みて分かっています。イエス様はそれを成し遂げてくださいました。
 この奇跡は、特別な祈りによって為されたのではなく、温かい交わりによって為されました。「ユダヤ人のあなたがサマリアの女のわたしに、どうして水を飲ませてほしいと頼むのですか。」女性の攻撃的な冷たい言葉に、イエス様は、愛情と思いやりをもって応えました。女性はイエス様と語り合うごとに、どんどん元気になり、喜びにあふれたのです。
 イエス様は、「生きた水」を与える、と言われました。この水は、生き生きとした交わりの中を流れ、私たちを活かします。実際の水は水素と酸素でできていますが、生きた水は、愛と思いやりでできているのです。
 こんな中でも希望を忘れず、愛情と思いやりの交わりを持ち続けること、それによって、和解と愛の奇跡は行われました。私たちも生きた水に生かされ、愛の道を歩みましょう。