2023年2月26日    大斎節第1主日(A年)

 

司祭 マタイ 出口 創

神の子だから

マタイによる福音書は、イエスさまが誘惑を受ける記事を、イエスさまが洗礼を受けた記事の直後に記しています。
洗礼を受け終わると、天が開き、神の霊が鳩のようにイエスさまに降り、天から「これはわたしの愛する子、わたしの心に適う者」と声が聞こえました。
イエスさまが誘惑を受けた記事では、悪魔は「神の子なら・・・」と、石をパンに変えて飢えを満たすように、神殿の屋根の端から飛び降りても、天使が助けることを確認するように、また悪魔自身にひれ伏すように、と誘惑します。
これらをイエスさまはことごとく退けるのですが、それは何故できたのでしょうか?
恐らく、「神の子だから」、神が十全に愛してくださっているという確信が、「神の子なら」と誘惑する悪魔を退けることが出来た根拠・根源だったのではないかと思うのです。
神さまが十全に愛してくださっている「神の子だから」、何も敢えて「神の子なら」という誘惑にも、ぶれることがなかったのではないでしょうか。

大斎節を私たち教会は迎えています。
古い時代から教会は、断食、施し・献金、祈りを、この季節に特に集中して行うように勧めてきました。
それは今も変わっていません。
でも、これらの行為をする根源は、私たちが「神の子だから」、神さまが私たちを十全に愛してくださっていることに、まず集中して感じる事から出てくる、自然な行為なのではないかと思うのです。
その意味では、大斎節とは、私たちが、神さまから十全に愛されている確信(信仰)に思いを集中することから始まる、特別な季節と言えると思います。
今も、神さまは私たちを十全に愛してくださっています。
まずはその愛に集中しましょう。
私たちも神の子たちです。
「神の子だから」、神さまは十全に私たちを愛してくださっているという確信(信仰)を強めて、この大斎節を過ごし、復活日を待ち望みたいと思います。