司祭 ダニエル 鈴木恵一
2月2日は被献日です。クリスマスから40日目、イエスさまが神殿にささげられたことを覚えます。イスラエルの律法では、家畜が最初に産んだ子は、神への感謝の気持ちを表わすために、神に献げることと決められていました。同じように、最初の男の子が生まれたら、神への感謝のためにその子は神に献げられました。しかし、人間の子どもを直接献げる分けには行きません。代わりに子羊をエルサレムの神殿に献げることになっていました。貧しくて子羊が準備できない場合は、二羽の山鳩または二羽の家鳩でも良いことになっていました。聖書にはヨセフとマリアは山鳩を献げたとあるので、二人の生活は裕福ではなかったのでしょう。律法を守るのも苦労を重ねていた夫婦の姿を見ることができます。
今日の福音書(マタイ5:1−12)は、イエスさまの山上の説教です。「貧しい人」「飢えている人」「泣いている人」がなぜ幸いなのか。それは「神の国はあなたがたのもの」だからとイエスさまは言われます。神さまはわたしたちの苦しみを見捨てては置かれない、神さまのお恵みは苦しむ者にこそ、まず最初に与えられることをイエスさまは示されました。神さまが望んでおられるからこそ、わたしたちも神の国の近づきに招かれています。
一部の人々だけが心地よい生活に満ち足りている現代のこの世界を、平和な世界と言うことはできません。誰かの悲痛な叫びや飢え渇きを踏み台にしてもたらされる快適さや、自分第一、自国第一という考えのもとで築かれた平和は、平和への幻想であり、本当の幸せではないどころか、むしろそれは不幸なことです。イエスさまの山上の説教はわたしたちにも本当の幸せについて語りかけています。
わたしたちに与えられている神さまからのお恵みを分かち合い、神の国の訪れの喜びを伝える者とされていきましょう。
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