司祭　サムエル　奥 晋一郎

「私たちと共にいるイエスさま」【マタイ１：１８−２５】

　１２月も半分が過ぎ、寒い日が続いています。そんな中、降臨節第４主日を迎えました。来週、クリスマスを迎えます。毎年、クリスマスを迎える直前の主日である降臨節第４主日はイエスさまの降誕に直接関連する福音書が朗読されます。今年はマタイによる福音書のイエスさまの降誕の箇所が選ばれており、ヨセフが登場します。
　ヨセフはマリアと婚約をしていました。ところが、マリアはすでに聖霊によって身ごもっていたことが分かります。そこでヨセフは正しい人であったので、マリアとひそかに縁を切ることを決心します。ところが、主の使いである天使がヨセフに夢であらわれて、マリアを迎え入れるようにと言います。マリアは聖霊、神様の力によって身ごもったからです。さらに、生まれる男の子の名前もイエスと名付けなさいと一方的に決められます。当時、イエスという名前は当時のユダヤの国で存在した一般的な名前と言われています。しかし、そのイエスという名前には「神は救う」という大切な意味が込められている名前でした。そして、このイエスさまの誕生はすでに預言者イザヤを通して預言されていたことが実現することでありました。イザヤ書第７章１４章「それゆえ、主ご自身があなたがたにしるしを与えられる。見よ、おとめが身ごもって、男の子を産み、その名をインマヌエルと呼ぶ。」です。インマヌエル、それは「神が私たちと共におられる」という意味です。神様はイエスさまのご降誕を通して、神様がいつも共にいることを、目に見える形でお示しになりました。その後、ヨセフは眠りから覚め、マリアを迎え入れ、生まれた子を神様が天使を通して言われた通り、イエスと名付けました。ヨセフにとって、イエスさまの降誕の出来事は自ら思い描いていたこととは違う出来事、つらい出来事、悲しい出来事であったと思われますが、ヨセフは神様の使いである天使の言葉を受け入れました。
　今回は「インマヌエル」「神が私たちと共におられる」という言葉に注目します。この言葉は、イエスさまの降誕を預言したイザヤ書の箇所、また、天使がイエスさまの降誕をヨセフに伝えた箇所にとどまるものではありません。ご存じの方もおられると思いますが、マタイによる福音書の最後の箇所２８章２０節「わたしは世の終わりまで、いつもあなたがたと共にいる」という言葉があります。この言葉は大人に成長し、十字架にかかった後、復活したイエスさまが弟子たちに出会った時に言った言葉です。このことから、イエスさまはインマヌエル「神は我々と共にいる」存在として、過去から、現在、そして、世の終わり、いつの日かわかりませんが世の終わり、終末の日、すなわち未来まで、わたしたちと、ずっと共にいて下さる存在であるといえます。
　今年も、イエスさまの降誕をお祝いするクリスマスを迎えます。私たちにもヨセフとは違う形ではありますが、思い描いていたこととは違う出来事、つらいこと、悲しいことに遭遇する時があるかもしれません。そのような時にも、私たちを励ますために、インマヌエル、神様が私たちとずっと共にいてくださり、神様の救いを示すためにイエスさまがこの世に降誕してくださったことを覚えたいと思います。そして、このことに感謝を示すために、私たちは１２月２５日に教会に出かけ、クリスマス礼拝を共に行ないたいと思います。