司祭 ダニエル 鈴木恵一
ご復活されたイエスさまが、天に昇られ、聖霊が弟子たちに与えられました。聖霊は弟子たちに力を与え、弟子たちはイエスさまの出来事を証しするようになりました。イエスさまの出来事をわたしたちが知るようになったのも、この聖霊に力づけられた弟子たちの証しによります。このことから、聖霊降臨日は教会の誕生日ともいわれます。わたしたちも聖霊の働きを心に受けてイエスさまの出来事を証しするものとなるように招かれています。
弟子たちは、イエスさまの昇天のできごとから一つになって集まって祈っていました。そこにイエスさまが約束されていたことが起こります。「突然、激しい風が吹いて来るような音が天から聞こえ、彼らが座っていた家中に響いた。そして、炎のような舌が分かれ分かれに現れ、一人一人の上にとどまった。すると、一同は聖霊に満たされ、“霊”が語らせるままに、ほかの国々の言葉で話しだした」その場に集まってきた人々は、弟子たちが外国の言葉で神さまのことを話しているのを聞いて驚きました。そこには、いろいろな国や地域からやってきた人がいたのですが、どの人も、自分が住んでいる国や故郷の言葉で弟子たちが「神の偉大な業を語っている」のを聞いたというのです。
聖霊降臨の出来事は、言葉は言語の壁を越えて、全ての人々のこころに伝わっていく出来事でした。かつてバベルにおいて、バラバラにされたとされる言葉、そして全地に散らされた人々。その互いに異なる言葉や人々が、聖霊の働きによって一つにされていきます。
わたしたちが暮らすこの世界には、さまざまな壁や文化や言葉の違いなどわたしたちの限界と思えるものが多くあります。しかし、それは聖霊の働きによって越えられていくものです。お互いの違いは福音の豊かさ、神さまのみ業の偉大さ、恵みの大きさを証しするものとなります。聖霊降臨の出来事は、弟子たちに与えられた力であるとともに、今も続くわたしたちへの神さまからの恵みの力です。
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