司祭 ダニエル 鈴木恵一
教会の暦は降臨節を迎え、あたらしい1年が始まります。クリスマスに向けて備えをしていく季節です。世の中も年末をむかえ、あわただしくなる12月です。教会もクリスマスの準備のためにいそがしくすごしてしまいがちですが、イエスさまのお誕生の意味をあらためて深く受け止めるための、心の落ち着きを保ちたいと思います。
今日の福音書は ルカによる福音書が朗読されました。終末についてのイエスさまの説教にある言葉です。先々週にはマルコよる福音書でも終末についてのイエスさまのことばが朗読されました。聖霊降臨後の期節の最後は「終末」が主題となっていましたが、その主題は今日の降臨節の初めにも引き継がれています。
「終末=世界の終わり」と言われてもわたしたちは映画の世界のように感じて、なかなか実感できるものではありません。しかし、一人ひとりの終末と考えると、必ずおとずれるものということではより身近に考えることができるのではないでしょうか。「個人の終わり=死」が「その日が不意に罠のようにあなたがたを襲うことになる」のは同じです。わたしたちの死は時間と空間の中にある肉体的生命の終わりの時ですが、同時に時間の流れを越えた「永遠」との出会いの時でもあります。そこに向かって、今をどう生きるかわたしたちは問われています。
「降臨節」はアドベントともよばれます。アドベントとは「到来」を意味することばです。この到来には二つの意味があります。一つには神の子イエスさま来臨を憶える降誕のできごと、クリスマスのための準備という意味です。それは同時に、終末におけるキリストの来臨の待望へと心を向けるという意味があります。だから降臨節は、この終末に向けたメッセージをもって始まります。そして降臨節は愛と喜びに包まれた待望の時であることが明らかにされます。
聖書の伝える終末のメッセージは神さまの愛に信頼し、その愛を生きるようにとわたしたちに力を与え励ましています。イエスさまは「愛に生きるように」と人々に励ましと勇気を与えてくださっています。
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