司祭 ダニエル 鈴木恵一
三位一体主日を迎えました。この節目の時に、ニコデモとイエスさまの対話の出来事が礼拝で朗読されるのは興味深いことです。せっかくイエスさまにお会いできたのに、ニコデモはイエスさまのおっしゃることに理解が届いていません。それは、三位一体ということについて、一言で表現できないわたしたちの姿を示しているようにも思えます。
創造主もイエスキリストも聖霊も同じ一つの神と言われても、わたしたちは、それぞれがあまりにも大きく、まったく別のものと感じてしまうのかもしれません。わたしたちは三位一体の不思議さを理解しようと言葉を重ねれば重ねるほど遠ざかってしまうと感じることがあります。真理を求めているにも関わらず、そこから遠ざかっていることに気づくことはさびしさや無力さを感じるかもしれません。それは、イエスさまに出会ったニコデモも同じかもしれません。わたしたちは三位一体について、深く考えようとすると、難しく感じたり、その3つの関係についてばかり考えてしまいがちです。
でも、ここで大切なのは神さまとわたしたちのつながりということにあるのではないでしょうか。驚き戸惑うニコデモにイエスさまは言われました。「『あなたがたは新たに生まれねばならない』とあなたに言ったことに、驚いてはならない。風は思いのままに吹く。あなたはその音を聞いても、それがどこから来て、どこへ行くかを知らない。霊から生まれた者も皆そのとおりである。」神さまの働きの自由さ、神さまの働きの広さを示しています。「どこからどこへ」というのは、わたしたちはこれまでの経験から知り得えることのできる人間的な限界をもつものです。
イエスさまのご復活から聖霊降臨の出来事を経て、いまやすべてのものが新しくされました。風は思いのままに吹きます。神さまの思いは、わたしたちの思いをはるかにこえるものです。そして神さまの永遠の命へとわたしたちを招いてくださっています。
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