司祭 アントニオ 出口 崇
「安心しなさい。私だ。恐れることはない」
とても力強い、イエス様の存在であり、言葉です。
しかし、ペトロの行動にもあるとおり、全ての不安、恐れがなくなり、安心して行動したわけではありません。ただ不安、畏れの中にも、イエス様が共にいてくださることで癒されつつも、現状はあまり変わらない、恐れ、不安から神様を疑いながら生きていく。
今日の福音書の後半のペトロの行動によって、私は少し慰められます。イエス様が共にいてくださるから「大丈夫、畏れるな」で終わっていれば、私にとって聖書は、イエス様の教えはとても厳しいだけのものと感じてしまいます。
しかし、イエス様の存在に気付き、安心して、力づけられてもなお、恐れを持って生きていく。疑いを持ち、助けを求める。そのような弱さを抱えた生き方をしている人間に対して、イエス様は常に手を差し伸べてくださっている。
新型コロナウイルスの蔓延により、教会も、私たちの生活も波に悩まされ、漕ぎあぐねた舟のようになっています。
私たち一人一人の頑張りだけでは乗り切れない大きな逆風の中、不安を抱えながら教会の礼拝に集まる私たち、また、不安を抱えながらそれぞれの場所で祈りをささげる私たち。不安を抱えながらも神様を信頼する礼拝を共にささげております。その交わりの中に、私たち一人ひとりのうちにイエス様が共にいてくださることを改めて覚え、祈りを続けていきたいと思います。
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