2019年12月1日     降臨節第1主日(A年)

 

司祭 ダニエル 鈴木恵一

この主日からアドベント・降臨節が始まりました。幼稚園や日曜学校のこどもたちと、リースやクランツなどクリスマスを迎える飾りを、わくわくする気持ちで準備された方も多いのではないでしょうか。この時期には教会の大きな木にも灯をともして華やかな様子が広がります。
そんな華やいだ気持ちになって、改めて今日の福音書を読んでみると、そんな楽しい雰囲気のことばではなく、むしろ、注意や警告をよびかけることばが目にとまります。クリスマスといえばお祝いの時ではなかったのかと、戸惑いの気持ちも起こります。わたしたちはどのような心でこの期節を過ごしたらよいのでしょうか。
クリスマスに向かうこの時を「アドベント」と呼びます。この言葉には「到来」という意味があります。アドベントはイエスさま救い主の到来を「待つ」ときです。クリスマスである12月25日に向けてわたしたちは予定を立てて準備をしています。でも、本来の救い主の到来の時は、それがいつなのかは、わたしたちには全くわからないということを改めて心に留めたいと思います。
今日の福音書では、イエスさまは人の子の訪れについて語られています。「そして・・・まで、何も気がつかなかった。人の子が来る場合も、このようである」(39節)「・・・いつの日、自分の主が帰って来られるのか、あなたがたには分からないからである」(42節)「だから、あなたがたも用意していなさい。人の子は思いがけない時に来るからである」(44節)と、イエスさまは、たたみかけるように、そのときはいつなのか分からないということを、わたしたちに繰り返して伝えてくださっています。しかし、それは単に不安を抱えて、不測の事態に備えるというものではありません。
クリスマスは明日かな、もうすぐかなと、こどもたちとわくわくしながら、飾りをつけて楽しく過ごしました。「クリスマスはまだ先だよ」と思わず答えてしまいましたが。こどもの心には楽しいことは、すぐにでもやってくるという、そんな時間の感覚があるのかもしれません。
主の訪れ、希望の時を待つのがアドベントです。子どもたちと一緒に心を弾ませながらクリスマスの飾りの準備をしていたその心には、イエスさまのお誕生を迎えるように、わたしたちの心も整えられていくのではないかと思うのです。神さまからの大切な贈り物であるイエスさま、わたしたちの間に訪れてくださる小さな赤ちゃんの姿を心に留めて、救い主の到来をご一緒に待ち望んでいきましょう。