司祭 ヨハネ 荒木太一
腐らず生きる
「もはや朽ち果てることがないように」(使徒言行録13:34)
「勝っておごらず、負けて腐らず。」若干22歳で大関昇進を果たした貴景勝のモットーだ。「おごらず」は平易だが、「腐らず」が意味深い。
人生では、心や信仰が腐る、人間関係や愛が腐る、生き方さえ腐る時がある。そんな時こそ絶望せず、他人を羨まず、与えられた日々を、主に誠実に、腐らず生きることが大切だ。
復活を古代人は「朽ち果てない、腐らない命」と呼んだ。まずそれは肉体的だ。死ねば腐って土に帰る、誰もが知るこの現実を主の復活は打ち破り、新しい時代が始まった。主は今も肉体的に生きている。そして信じる者は、人智を超えて、病いと老いと死に腐ることなく生きる。復活は死後の遠い絵空事でも、防腐剤のような止まった命でもない。生き生きとみなぎる命だ。
そして腐らず生きるのは体だけでなく心と魂も同じ。この世の旅路で、どれだけ心の罪と傷と暗さに弱りきっても、イエスを復活させた神を信じるなら、その人は腐らず生きられる。最も人間らしく、最も自分らしく、腐らず生きて、「自分の相撲をとって」希望と感謝で終われる。
復活の主は私たちの手を引いて腐敗から命へ引っぱり出す。「腐らず生きよう。地上から天上まで、わたしはあなたを、腐らず生かすから。」
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