司祭　サムエル　小林宏冶

「占星術の学者たちが訪れる」【マタイによる福音書第２章１節から１２節】

　イエス様は、ヘロデ王の時代にユダヤのベツレヘムでお生まれになりました。そのとき、占星術の学者たちが東の方から救い主を訪ねてやって来ました。エルサレムで、ヘロデ王に会った後、東方で見た星が先立って進み、ついに幼子のいる場所の上に止まりました。学者たちはその星を見て喜びにあふれました。やっとたどり着きました。
　家に入ってみると、幼子は母マリアと共におられました。彼らはひれ伏して幼子を拝み、宝の箱を開けて、黄金、乳香、没薬を贈り物としてささげました。
　占星術の学者たちは、何をしに行ったのでしょうか。どのような思いをもって旅をつづけたのでしょうか。
　占星術の学者たちは、イエス様に会いに行きました。幼子であったイエス様は、マリアと共におられました。彼らはひれ伏しました。イエス様に対して拝みました。救い主として認め、贈り物をささげました。
今日は顕現日の聖書箇所として、マタイによる福音書第２章から聖書箇所を見ています。顕現とは「はっきりとあらわれる」ことを意味します。イエス様の誕生がこの世界で特に、異邦人、外国人にも現われてくださったことを祝います。
わたしたちは救いを期待しています。自分自身で自分を救う力のないものです。ゆえに、自分以外の大きな力による救いを期待します。誰かを救う方ではなく、わたしたちを救う方を希望しています。救いは神様からの恵みです。傷ついたわたしたちをいやし、喜びをもたらせます。
イエス様のお生まれ以前は、神様の恵みを知ることが難しかったかもしれません。けれども、救い主イエス様の誕生が多くの人に神様の恵みを知らせることとなりました。それは、はっきりとあらわれたからです。遠くの人も近くの人と同じように知ることをゆるされたのです。
東方の占星術の学者は、ユダヤではなく、もっと東の方の国に住んでいました。彼らは、ユダヤ人ではありませんでしたが、遠く東の方から訪れました。一つの民族だけの救い主ではなく、すべての人の救い主としてイエス様は誕生されました。
占星術の学者たちは、直接お目にかかりたいと思いました。ユダヤの人々から見ると、外国人は、神様の救い、恵みから遠い人たちでした。この訪れは、そのような小さな枠を打ち破るものとなりました。この喜びは、ある人だけに限定されません。世界中のみんなに大きなうれしいお知らせが届いたというのです。わたしたちもこの喜びを共に分かち合いたいと思います。