2018年3月18日      大斎節第5主日(B年)

 

司祭 ミカエル 藤原健久

受け継がれる命。【ヨハネ12:20−33】

 「一粒の麦は…死ねば、多くの実を結ぶ。」私達一人ひとりの命は、私一人だけのものではありません。親などの先人より受け継ぎ、子などの後輩に引き渡すものです。誰かを幸せにするために尽力する生き方は、ずっと受け継がれてゆくものなのです。
 西原理恵子のマンガ「毎日かあさん」のなかに、こんな言葉がありました。「私の母は、嫌なことがあっても、何もできず、いつもすごく怒ってて、怒りながらでも、作った料理の美味しいとこは、必ず子どもにくれた。そうやって母親からのタスキはちゃんと代々つながっていると思う。大きく変えることはできなくても、少しずつ良い方向へ。」
 罪深い私達の生き方が全て良いものだとは言いません。親の生き方は、時に子どもにしんどいものを与えてしまうこともあります。けれども、不完全な生き方の中に、必ず、自分の事は後回しにして人を幸せにしようとするものがあるのです。私達はそのような生き方を受け継いでいます。そしてそのような生き方を引き渡していくのです。
 イエス様の十字架と復活は、誰かのために自分の最も大切なものを与えるような生き方の中に、永遠の命の希望があるということを、私達に教えてくれます。