2017年8月20日      聖霊降臨後第11主日(A年)

 

司祭 ミカエル 藤原健久

絶対離れない。【マタイ15:21−28】

 彼女はイエス様に、必死になって、娘の病気を癒してくれるようにお願いします。イエス様は、彼女がユダヤ人ではないことを理由に、拒否します。最後には彼女を犬にたとえます。酷い言葉です。彼女は次のように返しました。「小犬も主人の食卓から落ちるパン屑は頂くのです。」これは深い信仰の言葉です。「外国人でも神様からの恵みを受ける権利がある」、つまり、「神様はユダヤ人だけでなく全ての人を救う」と言う、信仰の根幹を言い表した言葉なのです。「婦人よ、あなたの信仰は立派だ。」これはイエス様が、彼女の信仰をたたえた言葉だったのです。
 彼女はしっかりしています。信仰の道理が分かっています。自分の要求が通ればそれでお終い、と言うような信仰ではなかったでしょう。きっと彼女はこの後イエス様に従い、イエス様と弟子達を支え、弟子達と共に宣教に励んだことでしょう。信仰とは、神様から恵みを受けるだけでなく、自分から奉仕し、神様から離れずに歩む事なのです。
 信仰には苦労が付き物です。イエス様の十字架はその最たるものです。けれども十字架の後には復活があるのです。苦労は多く、けれども恵みは極めて大きい、これが信仰の神秘なのです。神様から決して離れず歩みましょう。