2016年8月7日      聖霊降臨後第12主日(C年)

 

司祭 セオドラ 池本則子

平和を思いめぐらす8月

 日本にとって、8月6日、9日、15日は永遠に忘れてはならない日です。もちろん、6月23日も12月8日もそうです。今の若い人たちはこの五日がどのような日であったか知っているでしょうか。そして、この五日の出来事が正しく伝えられているでしょうか。
 
『小さな群れよ、恐れるな。あなたがたの父は喜んで神の国をくださる』(ルカによる福音書12:32)。イエス様はたとえ小さな群れであったとしても、神の国をくださることを2000年以上も前に約束してくださいました。この地球上には小さい群れである数えきれないほど多くの国や民族が存在しています。その中で、どれだけの国や民族が平和であると言えるでしょうか。残念ながらまだまだ平和そのものの神の国とは程遠いのが、この世界の現状ではないでしょうか。
 
神の国に争いや戦争はあるでしょうか。すべての人に等しく与えられている尊い命が大切にされない戦争に正義はあるのでしょうか。神様は誰一人例外なくすべての人を愛され大切にされています。そのような人たちがお互いに傷つけ殺し合い、抵抗できない女性や子どもたちを苦しめる戦争を神様は望まれているでしょうか。
 
70数年前、恐れずに小さな群れとして声を挙げた人たちもいたとは思いますが、その声は聴き届けられることなく、大きな過ちを犯してしまいました。しかし、その反省もどこへやら、最近、再び戦前に戻ったのではないか、と思われるような日本です。昔と違って自由に発言できる社会になったとは言え、いろいろな所で発せられている小さな群れの声がどれだけ政府に聴き届けられているでしょうか。
 
神様が支配され、神様が共におられ、すべての人が神様の恵み、祝福のうちに助け合いながら平和に生きる神の国。イエス様が約束してくださった神の国を待ち望んで、私たちは神様のみ心に適った声を発していきたいと思います。
 
声が大きい意見や多数の群れに押し切られることの多い現実ですが、たとえ声が小さくても、少人数であってもイエス様のまなざしでこの世界を見つめ、神様のみ心にかなった生き方をしようとするものに神様は力を与えてくださいます。私たちは過去の誤ちを二度と繰り返さないためにも、戦争に関わる上記の五日を忘れないように、そして戦争を知らない人たちにもしっかりとこの五日の出来事を思い巡らして、主の平和を実現して欲しいと思います。
 
私たちは小さな群れかもしれませんが、恐れずに主の平和、神の国を追い求めていきましょう。一人一人が確実に平和を追い求めることによって、その輪が広がっていくことでしょう。そして、そこから主の平和、神の国がもたらされるのではないでしょうか。