司祭 マタイ 出口 創
神の出来事が人間の歴史に刻まれた
「皇帝ティベリウスの治世第15年、・・・神の言葉が荒れ野でヨハネに降った。」(ルカによる福音書 3:1,2)
つい何の気なしに読み進んでしまう所ですが、冷静に考えるととてもすごいことが、この一文に記されています。
ローマ帝国第2代皇帝ティベリウス。世界史で実在の人物です。当時は即位から次の秋までを、治世の第1年と数えたそうですので、彼の治世第15年というのは、西暦27年から28年秋までの1年間を指します。「神の言葉がヨハネに降った」という『神の出来事』が人類の歴史に刻まれたのが、西暦27年から28年秋という年だと、ルカによる福音書は言うのです。
「1192年に源頼朝が鎌倉に幕府を開いた」とか、「1549年にフランシスコ・ザビエルが来日してキリスト教を広めた」とか、後世に影響を与えた偉業や出来事を順番に並べたものを『年表』と言うのであれば、その年表の中に、とてもさりげなく、『神の出来事』が記された年が、西暦27年から28年秋までの年だったことになります。
「神が介入する」というとつい「天から荘厳に」と想像しますが、実は深く静かに沈静するように、既に介入しているのではないでしょうか。