2014年6月22日       聖霊降臨後第2主日(A年)

 

司祭 ヨハネ 井田 泉

屋根の上で言い広めなさい【マタイ10:16−33】

 イエスさまは多くの人々に福音を語られました。多いときは5,000人、1万人以上もの人が集まって一緒に話を聞いたのです。
 しかしその一方で、イエスさまはごく少数の弟子たちを身近に置いて教育し、訓練して、ご自分の働きをしっかりと受け継ぐ者にしようとされました。
 苦しみを抱えてイエスさまを慕い求める人びとがあり、好奇心で寄ってくる人びとがあり、また敵意と憎しみに燃えてイエスを捕らえる機会を窺っている人びとがありました。
 こうした中で、核となる弟子を育てることは、イエスさまにとって非常に大切なことだったのです。あるときは屋外で、あるときは夜の暗い家の中で、耳元に近づけるようにして神の国の奥義を語られたこともたびたびあったでしょう。
 弟子たちは耳で聞き、心に留め、身体に刻んだイエスさまの教えを、次第に自分のものにしていきます。
 やがて時が来ます。
 「わたしが暗闇であなたがたに言うことを、明るみで言いなさい。耳打ちされたことを、屋根の上で言い広めなさい。」マタイ10:27
 イエスさまの教え、十字架と復活の福音を、屋根の上からでも、どんな場所でも言い広めていくべき時が来るのです。
 事実、イエスさまの復活から50日後、昇天から10日後、聖霊降臨日に時が満ちて、福音宣教が本格的に始まりました。
 イエスさまは弟子たちに、「屋根の上」からでも言い広めてほしいと福音を託されました。
 わたしたちもそれを聞いて生かされ、やがてそれを人に伝え分かち合う者となるように成長させられていきます。
 「あなたがたの髪の毛までも一本残らず数え」る(マタイ10:30)ほどにわたしたちのことを知っていてくださる神さまに信頼して、福音を広めていきましょう。