執事 エレナ 古本みさ
『御国が来ますように』
【創世記1:1−2:3,Uコリント13:11−13,マタイ28:16−20】
三位一体主日、それは、父なる神・子なる神・聖霊なる神の三つが、それぞれ独立性を持ちながらも一つであることを覚え、その性質から知ることのできる神さまの大きな愛に触れて、あふれんばかりの感謝と賛美をささげる日です。本日の三つの聖書箇所を続けて読みますと、時空を超えた神さまの大きな青写真が見えてくるようで、わたしたちへの神さまの思いに胸がいっぱいになります。
「光あれ」という最初の言葉をもって創られた神さまの世界はパーフェクトでした。それはまるで、真っ暗闇にスポットライトを浴びて浮かび上がった大きなキャンバスに、何千色、何万色という絵具で描かれた最高傑作。完成した画を見て、神さまは言われます。「見よ、それは極めてよかった」。そこは神さまの支配が隅々までゆき渡った世界、そこは神の国でした。生きとし生けるものが創造主である神さまの愛をしっかりと受けとめ、それぞれがその愛を自分以外のものと分かち合う愛と平和の世界です。
でもわたしたち人間は自らその世界を出てしまいました。そして、神の愛により生かされているという確信が持てないまま、不安と心配と孤独と自己中心に支配され、魂は神さまを求めながらも心は常に神不在を主張する誘惑に負けてしまうという地に足のつかない生活を送ることとなったのです。しかし、神さまは決してわたしたちを見放すことはなさらず、神さまとわたしたちがもう一度つながれるためにみ子イエスさまを送ってくださいました。イエスさまを通してわたしたちの目は開かれ、神さまがわたしたちを愛してくださっていること、そして神さまは何よりもわたしたちが互いに愛し合うことを求めておられるということを知ることができたのです。
復活のイエスさまに出会ったパウロは、イエスさまを救い主として信じるわたしたちに勧告します。「喜びなさい。完全な者になりなさい。励まし合いなさい。思いを一つにしなさい。平和を保ちなさい。そうすれば、愛と平和の神があなたがたと共にいてくださいます」。愛と平和の神が共にいてくださる世界、それこそが神の国です。喜び、完全な者となり、励まし合い、思いを一つにし、平和を保つ。パウロはさらっと言いますが、それらは並大抵のことではありません。でも、わたしたちがイエスさまを知っているなら可能です。父と子から送られる聖霊がわたしたち一人ひとりをそのように助けてくださるからです。
すでに聖霊を受けたわたしたちキリスト者には、神の愛であり、神の力である聖霊がもっともっと多くの人に降されるように祈り、イエスさまを伝える義務があります。「あなたがたは行って、すべての民をわたしの弟子にしなさい。彼らに父と子と聖霊の名によって洗礼を授け、あなたがたに命じておいたことをすべて守るように教えなさい」。これが、イエスさまの大宣教命令です。そうしてわたしたちは、世界のはじめに創られた愛に満ちた神の国を神さまが再建するお手伝いをするのです。
夢物語ではありません。実現を信じ、期待に胸をふくらませてキリストの弟子として生きていこうではありませんか。だって、イエスさまはこう宣言されているのですから! 「わたしは世の終わりまで、いつもあなたがたと共にいる」。
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