司祭 クレメント 大岡 創
「ヨハネと最初の弟子たち」【ヨハネによる福音書1:29〜41】
顕現節で読まれる福音書を通して洗礼者ヨハネの証しが重要な役割を果たしています。
ヨハネは自分の方に近づいて来られるイエスさまを見て「見よ、世の罪を取り除く神の小羊だ」と人類を救う偉大な方としての確信を深めていきます。イエスさまをほめたたえるだけでなく、神の手の中にあるわたしたち一人ひとりの歩みにも深く限りない意味があることを指し示す呼びかけです。
ヨハネには多くの弟子がいたようです。その内の二人と一緒にいると、歩いておられるイエスさまに出会いました。そしてここでも「見よ、神の小羊だ」と証ししました。二人の弟子にイエスさまの存在を告げたのです。それを聞いた二人はイエスさまの弟子になりました。その内の一人はアンデレでした。ヨハネの弟子であった彼はこの時からイエスさまの弟子として旅立っていきました。アンデレもイエスさまの中に「神の小羊」を見出したのです。さらに、彼は兄のシモン・ペトロのところへ行き、「わたしはメシアに出会った」と告げ、ヨハネの呼びかけによってイエスさまの弟子たちが誕生していきました。
わたしたちはイエスさまの洗礼を境に、弟子たちが召しだされていく「みことば」を聞きました。イエスさまが弟子たちと共に宣教の場が広がっていくことを覚えると同時に、わたしたちも、神の子キリストを人々に証しするものとなることができますように。
顕現節を通してイエスさまの働きを徐々に感じることも大切ですが、感じることや知ることだけでなく、自ら変わっていく努力と意識をその上に着せようとしていくことが何よりも大切なことではないでしょうか。「自分にとってのイエスさま」を見出した人は、体も心も動き出しました。そんな印象をもつ箇所です。その接点を見つけ出していくことがわたしたちに委ねられているのではないでしょうか。