2013年9月1日      聖霊降臨後第15主日(C年)

 

執事 ヨハネ 荒木太一

「主はわたしの助け手。わたしは恐れない。人はわたしに何ができるだろう。」(ヘブ13:6)

 ドラマ「半沢直樹」が人気です。「やられたら倍返しだ!!」大手銀行の主人公は、どんな圧力をも恐れずに正義を貫き、不正に挑みます。
 誰をも恐れない心が、実際にはそうではないわたしたちの心を掴むのでしょう。他人の評価を気にし、自分や家族を守るため、圧力に負けてしまうことも確かに現実の一つなのです。
 しかしそれでも「恐れるな」と呼びかけるのは、今日の使徒書も同じです。まして神ご自身があなたの助け手だと言うのです。「あなたをしっかり見ているから。人間の評価があなたとわたしの関係になんの関わりがあろう、わたしはあなたから決して離れないから」と神が誓うのです。
 これは人の批判を受け入れない傲慢な人になれ、の意ではないでしょう。「高慢の初めは主から離れること」と旧約にあります。神から離れる高慢な人には、誰からの圧力をも恐れない自信は与えられません。恐怖あるのみです。
 主イエスは、敵に囲まれて不正に死刑を宣告され、執行されました。どれだけ恐ろしかったか。しかし他人を救うためにその苦しみを受けたのです。「わたしが殺されたとしても、この悪はわたしと神との絆に何ができようか」と。神が応えたのはイエス様が死んでからでした。復活の命こそがその戦いの「倍返し」だったです。そして信じる者は、この命の勝利に参加できるのです。あなたも、わたしも、恐れたままでも。