2013年7月28日      聖霊降臨後第10主日(C年)

 

司祭 サムエル 奥 晋一郎

「御国が来ますように」【ルカ11:1−13】

ルカによる福音書11章2節−4節
そこで、イエスは言われた。「祈る時はこう言いなさい。『父よ、御名(みな)が崇められますように。御国(みくに)が来ますように。わたしたちに必要な糧を毎日与えてください。私たちの罪を赦してください、わたしたちも自分に負い目のある人を皆赦しますから。わたしたちを誘惑に遭わせないでください。』」

 4月より赴任した教会の牧師と兼務で、幼稚園の園長になり、幼稚園の礼拝を原則毎週1回行っています。今月は聖歌483番を歌っています。その聖歌の1番の歌詞は「神の国と神の義を、まず求めよう、すべては神の賜物、ハレル、ハレルヤ」です。それまではあまり好きではない聖歌でしたが、幼稚園でこの聖歌を園児と一緒に歌っていると、イエスさまから、自分自身のことで思い悩まずに、まず神様に心を向けなさいとやさしい声で言われている気がしてきます。そして、一時的であっても、思い煩いから解放され、癒されていることに気が付きました。幼稚園で園児と歌うことによって、私自身好きな聖歌が一つ増えたことは本当にうれしいことです。

 上記の聖歌の歌詞に登場する「神の国」は、ルカ11:2に登場する「御国」と同じ意味です。イエスさまは弟子に祈りを教えてほしいと言われ、祈りを教えました。それが上記の聖書箇所ルカ11:2−4です。この祈りは現在の主の祈りのモデルとなっている箇所です。

 この箇所の御国、神の国とはどのようなものでしょうか。神の国とは神様の支配が及ぶ場所、すなわち天国です。この神様の支配が及ぶ場所である天国がいつの日がこの世に来ますように、と祈ることをイエスさまは弟子たちに教えられました。それによって、神様からの本当の救いが与えられることをイエスさまは弟子たちに伝えたのでした。

 この御国、神の国が来ることを願い求めること、そのことが本当の救いにつながっていくことを、主の祈りを通して、聖書のみ言葉を通して、聖歌を通して、イエスさまは私たちにも、伝えてくださっています。そして、イエスさまは、私たちにも、神様を熱心に捜し求め、見いだしていくように主の祈りを祈って欲しいと願っています。

 だからこそ、わたしたちは主の祈りにある、また本日の福音書ルカ11章2節にある「み国が来ますように」と熱心に祈り求めます。そのことによって、私たちは神様の支配が及ぶ場所である天国が来るように、そのためにイエスさまがこの世に再び来られる日が来るようにと願い求めます。そして、私たちは自分のことよりもまず神様に心を向けることによって、自らの心の乱れ、思い煩いから少しでも解放され、安心して、希望をもって、日々を過ごしていくことができればと思います。