2013年5月26日      三位一体主日・聖霊降臨後第1主日(C年)

 

司祭 サムエル 小林宏治

「聖霊の働き」【ヨハネによる福音書第16章12節から15節】

 今日の福音書の個所は、最後の晩餐での出来事が記されています。イエス様は十字架にかけられる前の晩に、弟子たちと共におられました。そのとき、イエス様は弟子たちに最後のお話をされました。そのお話は、訣別の説教と言われています。今日の聖書の個所は、訣別の説教の一部であり、聖霊について語っています。
 イエス様は自分がこの地上からいなくなることを告げられました。けれども、その代りに、弁護者を送ってくださると約束されました。
 「わたしが去っていくのは、あなたがたのためになる。」
 「わたしが去っていかなければ、弁護者はあなたがたのところに来ないからである。」
 イエス様はこれから起ころうとする出来事に対して、弟子たちがそのことを乗り越えることができるように、心の準備をさせるために語られました。イエス様はこれからのことを心配して、「言っておきたいことは、まだたくさんあるが、今、あなたがたには理解できない。しかし、その方、すなわち、真理の霊が来ると、あなたがたを導いて真理をことごとく悟らせる。」と言われました。
 イエス様は自分と聖霊の関係に触れ、また、聖霊が弟子たちのもとに来て、皆に何をするのかを説明されました。イエス様が伝えたいことはたくさんあるが、今の弟子たちには完全に理解することはできないと言われます。しかし、真理の霊、聖霊が来ると、イエス様が言われたことを理解できるようになるというのです。
 イエス様がこの世からいなくなるという現実を弟子たちはほとんど理解していませんでした。ことあるごとに弟子たちに伝えていましたが、彼らはなかなか受け止めることができませんでした。むしろ、そんなことはないと思っていたかもしれません。
 それに対して、この世に残されたものがどんなに苦しまなければならないかをイエス様は考えておられたと思います。その難題に対して、イエス様は、弟子たちに真理の霊を送ると約束されました。その真理の霊は、聖霊とも言います。その聖霊は、弟子たちと共におられ、イエス様のこと、神様のことをことごとく教えてくれるというのです。また、イエス様が教えておられたこと、その大切なことを、弟子たちに理解させる働きを持っているというのです。
 弟子たちと、イエス様とに大きな食い違いがありました。けれどもイエス様は、その食い違いも聖霊の働きによって、解決されることと信じておられたと思います。
 人は弱い生き物です。誰かに頼らなければ生きてはいけません。その支えによっていつも守られているのです。イエス様の御言葉に示されているのは、その支えである神様を見失わないようにということではないかと思うのです。
 いつも神様と共にあることを祈ります。