2013年5月5日      復活節第6主日(C年)

 

司祭 サムエル 門脇光禅

「イエスさまが残してくれたもの」【ヨハネ14:23〜29】

 今日の聖書箇所はイエスさまが残してくれた真理に満ちています。
 まず、イエスさまは聖霊について語ってくれます。キリスト者は生涯生きることの学びを必要としています。その時聖霊は私たちを真理へと導いてくれるということです。私たちは生きている間に真理をすべて知ることは不可能です。ですから生涯にわたって聖霊の導きを祈るのです。
 聖霊はまた、傲慢になってしまった私たちの考えをイエスさまが語ったことに戻してくださるのです。そして聖霊は私たちが正しい行いをするように導いてくださるのです。
 イエスさまは私たちに、「平和を残す」と言われました。あまり有名なヘブル語「シャローム」(平和)という言葉は単に「戦争や紛争、トラブルがない」という意味だけではありません。
 イエスさまの言われる「平和」は私たちの最も善なるものを育てるすべてを指しているのです。この世が与えようとしている平和は問題を避けようとする平和ですが、イエスさまが与えてくださった平和は問題を克服する平和です。何者も私たちの人生から奪うことのできない平和なのです。
 イエスさまは、もうすぐ父のもとに帰ろうとしています。弟子たちがイエスさまを愛しているならそうなることを喜ぶはずと言われます。
 イエスさまはこの世の制約から解放されようとしているのです。栄光の復活に入ろうとしていたのです。
 私たちがキリスト者としての信仰を真に求めるならば、愛する人々が神さまのもとに行くことを常に喜ぶはずとも聞こえるみ言葉です。
 でも、それは悲しみに胸を痛めるな、別れに苦悩するなと言われたのではないと思います。
 悲しみや孤独の中にあってなお、愛する人々がこの世の苦難や試みを越えて神さまのみもとに召されたことを喜ぶであろうと言われたのです。
 先達者たちは、死んでいなくなったのではなくて、神さまのみもとで慰められ祝福のうちにあることをイエスさまは私たちに教えてくださっているのです。