2013年3月3日      大斎節第3主日(C年)

 

執事 ヨハネ 荒木太一

「あなたがたを襲った試練で、人間として耐えられないようなものはなかったはずです」 (Tコリ10:13)

 よく聞くこのことわざは試練を受けている人への慰めです。決して「耐えられない」ほど辛い心を否定するのではありません。そうではなく「わたしも同じだ、だいじょうぶ、神は必ず守ってくださる」と語りかけるのです。
 「人間として耐えられないようなものはない」とは原語では「すべては人間的なもの、人類に属するもの」です。試練も、またそれに耐える力も、神の造られた人間性の中での出来事なのです。だから心配ない、あなたは壊れる事はない、神が守るから、と慰めるのです。
 モーセが、パウロが、そして100%人間となったキリストが受けた同じ試練に、あなたの苦しみも同様に属している。そして耐える力も共通している。人は独りだけで苦しむのではない。
 最悪の試練として、十字架の死を引き受けたイエス様に父なる神は復活を与えました。このイエス様が言うようです。「試練に会う人に父は逃げ道、脱出(エグゾダス)を用意する。だから試練の日にも、神の恵みに立って決して倒れないでほしい。同じ人間として一緒にいるから。わたしはあなたと一緒にいるから。」
 どうか試練を通してイエス様の人間性と一つとなり、神への脱出に与れますように。