司祭 アグネス 三浦恵子
【マタイ2:1−12】
「顕現日」は、人としてこの世に来られたイエス・キリストが神性を人々の前で表したことを記念するキリスト教の祭日です。聖書では、幼子イエスさまに東方の占星術の学者たちが出会う日です。マリアから生まれた幼子は、神さまとしての位格を人々に広くあらわされたのです。
イエスさまのご降誕の聖書の箇所を比べますと、ルカ福音記者はイエスさまの誕生の時の周囲の様子を劇作家のように詳しく描いています。マルコ福音記者はイエスさまの受洗から語られています。マタイ福音記者だけがご降誕の様子より、そのご降誕に関して周囲の人々がとった態度を重点に書き残しています。特に東方の国の占星術の学者たちがはるばるエルサレムへやって来たことが書かれています。時の王ヘロデと面会し、ユダヤの王の誕生を表す「星」を見たことと、その王を拝みに行くことを伝えるのです。輝く星に導かれ幼子イエスさまと出会った彼らは、富を得るための商売道具だったと思われる宝物をお捧げします。幼子イエスさまの輝きによって、これから歩む道のりを示されることになったのです。東方へ帰った彼らは、イエスさまの教えに注目しキリスト者の先駆者になったことでしょう。幼子イエスさまとの出会いは、生き方が変えられる大きな出来事としてマタイ福音記者は伝えたかったのでしょう。クリスマスには教会でクリブを飾る所が多いと思います。そこには、イエスさまのご降誕を最初に知らされた羊飼いや占星術の学者たちが飾られます。天使を屋根に付け、家の中には幼子イエスさまとマリア、ヨセフ、さらにくつろいでいる牛や羊が置かれます。顕現とは、幼子の放つ星の輝きによって様々な国から様々な民族が集められ、神さまの元で一つとなることを伝える出来事だったのです。光を求めた学者たちには神さまとの出会いを、光に照りだされた羊飼いたちには喜びの確信を。すでに神さまのみ元に集められている私たちは、これからの歩みで何をお捧げすることができるかを思い巡らしたいと思います。