2012年10月7日      聖霊降臨後第19主日(B年)

 

司祭 セオドラ 池本則子

神様が人間を創造された意図

「人が独りでいるのは良くない。彼に合う助ける者を造ろう」(創世記2:10)

 神様が、ご自分にかたどって人間を創造された時、「人が独りでいるのは良くない」と男と女を造られました。そしてそれは単なる男と女ではなく、助け合う者としての男と女でした。神様は創造の初めから、人間とは一人で生きていくことはできない、助け合う者が必要な存在として人間をお造りになったのでした。

 結婚準備の時、これから夫婦として共に生きようとしている2人に対して、私はこの言葉を最も大切なこととして伝えています。違った環境で育ってきた2人が一緒になって新しい一つの家庭を築いく。夫婦というのは人間生活にとって必要な家族の基本。だから、よりよい家庭を築いていくためには2人がお互いに必要な存在として助け合い、補い合い、協力していかなければ幸せな家庭生活を築いていくことはできない。お互いが自分に合う助ける者としての必要なパートナーとして神様から与えられているということを忘れないで欲しい、とお話ししています。

 そして、このことは結婚においてだけではありません。神様はすべての人を助け合う者として創造されたのです。神様は一人ひとりに違った性格や能力・才能を与えられました。それは、それぞれの個性をお互いに生かし合うことによってより豊かな社会を形成していくことができるようにするため、また、お互いに足りないところを補い合いながら共に生きていくことができるようにするためだったのではないでしょうか。また、いろいろな国や民族、いろいろな文化や社会があり、いろいろな宗教や思想、考え方があります。それは、自分と違うものを受け入れ、認め合うことによってより広い豊かな人間や社会にするためだったのではないでしょうか。他人とは違う人格を持った人間同士が助け合って、支え合って、認め合って生きていくことが神様の創造の意図だったのではなかったでしょうか。

 神様の意図した通り、世界中のすべての人が誰とでも受け入れ合い、助け合い、支え合って生きていくことができれば、いじめはなくなるだろうし、世界も平和になるでしょう。ただ、どうしても自分とは合わない人、受け入れがたい人、助け合うことが難しい人、などがいるのが現実ではないでしょうか。徹底的に考え方の違う人と助け合って生きていくのはなかなか難しいことだと思います。しかし、人は一人で生きていくことはできません。たとえ、「自分は一人で生きていく」と他者との関わりを断っていたとしても、間接的には必ず人の力を借りて生きているはずです。

 すべての人が神様の「人が独りでいるのは良くない。彼に合う助ける者を造ろう」という意図によって造られた人間同士であることを覚え、一人でも多くの人を受け入れ、認め合い、助け合って生きていくことができるような社会になって欲しいと思います。そのためにも、それぞれが神様から与えられた賜物を生かし合って平和な社会を実現していくことができるように、お互いの良いところを見つめあっていくことが大切なのではないでしょうか。