2012年5月6日      復活節第5主日(B年)

 

司祭 ヨブ 加納嘉人

「約束」【ヨハネによる福音書14:15−21】

「あなたがたは、わたしを愛しているならば、わたしの掟を守る。わたしは父にお願いしよう。父は別の弁護者を遣わして、永遠にあなたがたと一緒にいるようにしてくださる。」

 今日のイエスさまの言葉は、弟子たちに対する「決別説教」と呼ばれる部分です。十字架の苦難と死に向かって、決然と歩もうとされるイエスさま。しかし、そのお言葉の、なんと確信に満ち、安心にあふれていることでしょう。
 「掟を守らなければわたしを愛しているとは言えない」ではなく、「わたしを愛しているならば、わたしの掟を守る」と言い、「父にお願いすれば別の弁護者を遣わしてくださるだろう」ではなく、「わたしは父にお願いしよう。父は別の弁護者を遣わして、永遠にあなたがたと一緒にいるようにしてくださる」と言われるのです。確信という言葉では、まだ不確定要素を残しています。イエスさまの言葉は、確信よりもさらに強く、「かならずそうなることを知っている」、と表現した方が正確なのではないでしょうか。
 弟子たちに向けて語られたこれらの言葉は、まったく同時に、これを読む私たちに向けて語られています。わたしに向かって、あなたに向かって語られている、と言えるのです。
 では、みなさんは、あなたに向かって語られているイエスさまの言葉をどのようにお聞きになりますか?いま求められていることは、イエスさまを愛することです。イエス様は、あなたの愛を求めておられます。十字架に向かわれる神の子イエスさまには、あなたの愛が必要なのです。
 イエスさまを愛するその同じ愛で、わたしたちは、互いに愛し合うことが求められています。ちいさな命を、傷つきやすい命をこころから大切にしようとする、それが「愛する」ということではないでしょうか。どんなに力強く見えても、命は、傷つきやすく、こわれやすいものであることを、つい最近になってわたしたちは、さまざまな形で気づかされてきました。すべての命が、愛を必要としているのです。イエスさまの十字架が、そのことをいつもわたしたちに示してくれます。
 今日の聖書は、その一方で、確信に満ちた言葉で、イエスさまの約束を記します。「わたしは父にお願いしよう。父は別の弁護者を遣わして、永遠にあなたがたと一緒にいるようにしてくださる」。わたしたちには、神が遣わしてくださった弁護者・聖霊が、ずっといっしょにいてくださる。そのことを、イエスさまがいつも約束してくださっていることを、忘れずに過ごしたいと思います。主に感謝。