執事 ダニエル 鈴木恵一
今日の福音書【マルコによる福音書1:40−45】はイエスさまが「重い皮膚病」を患っている人をいやす出来事が朗読されます。
この「重い皮膚病」にかかった人は、病気の苦しみだけでなく、けがれた者とされ社会から差別、疎外されていました。「聖である神と反対にある、神からもっとも遠い人」と考えられていました。そして共同体から追いやられ、人々との関係も絶たれました。そのような人にイエスさまは出会い、孤独の中にあった人、疎外されていた人にいやしのわざをされたのでした。
日本聖公会ではこの顕現後第6主日をハンセン病問題啓発の日として祈りをささげ、ハンセン病問題への理解が深まるように、とりくみがなされています。イエスさまがなさったように隔ての壁を越えるはたらきを担うようにと求められています。
イエスさまは、病気の苦しみと孤独の苦しみからの解放を強く願って近づいてひざまずいたこの人に深く憐れんで、手を差し伸べて触れられました。深く憐れむという言葉には内臓がちぎれるような思いという意味があります。イエスさまは心の深みにまで近づかれたのでした。そして手でふれて「清くなれ」と言われていやされました。触れることは苦しみを共に担う姿勢ということができます。汚れた者と呼ばれて人々から疎外されていたこの人が、「神さまとそして人々との関係に戻りなさい」というイエスさまの宣言とも言えるでしょう。イエスさまは体の病をいやされただけではなく、人とのつながりをも回復されました。
イエスさまは人々を苦しみから解放される方でした。そして、イエスさまはその苦しみをご自身に受けられます。イエスさまの受けられた十字架は、わたしたちを神さまとのつながりの回復のしるしです。