2010年5月30日  三位一体主日・聖霊降臨後第1主日 (C年)


司祭 ヨブ 加納嘉人

三位一体 ─わたしたちが信じている神様─【ヨハネによる福音書第16章12−15節】

 この不透明で先行きの見えない世の中で、わたしたちはどのように生きていけばいいのでしょうか。生きていく、ということは、よく、一本の道を歩いて進んでいくことにたとえられます。自分が進んでいこうとする道がまっすぐで、見通しが良く、天気が良くて、分かれ道がなくて、健康で、方角がしっかりわかっていれば、一歩一歩を安心して進めることができるでしょう。でも、そんなにいい条件ばかりがそろっていることは、残念ながらありません。道は曲がりくねり、見通しは立たず、分かれ道ばかりで、方角がわからなくなり、疲れ果てているところに雨が降り始める・・・。そんなわたしたちの日常生活に、もし、信頼できる道しるべがあればどれほど心強いでしょう。それはあるいは分かりやすい地図と方位磁石かもしれません。今の時代、より便利なナビゲーションがあるようです。道を良く知っている仲の良い人が一緒に歩いてくれればなおさら安心でしょう。同じように、わたしたちの人生の歩みに必要なのは、安心して、今、この一歩を進めることができるための、信頼できる道しるべなのではないでしょうか。今日の福音書では、わたしたちが歩むべき道、真理の道を、しっかり、ていねいに教えてくださる方がおられることを、イエスさまが話してくださいます。
 「言っておきたいことは、まだたくさんあるが、今あなたがたには理解できない。しかし、その方、すなわち、真理の霊が来ると、あなたがたを導いて真理をことごとく悟らせる」。ヨハネによる福音書において、最後の食事の席で、イエスさまが弟子たちに話された言葉です。イエスさまの十字架を目前にした弟子たちにはイエスさまの言葉を理解することできません。イエスさまが去られた後、弟子たちに導き手・弁護者が与えられる、その働きによって、弟子たちがイエスさまを理解することができるようになる、それが真理の霊、聖霊であると言われるのです。わたしたちの信頼すべき道しるべは、イエスさまの言葉によって、わたしたちとともにすでにあることがわかります。わたしたちは、常に、今のこの一歩を、神様への信頼をもって、安心して、力強く進めることができるのです。
 父と子と聖霊なる神様は、愛によって一つであるように、聖霊の働きによって、わたしたちもその愛の交わりの中に一つとされる。キリスト者たちが長い時間をかけて示されてきたそのような信仰が、三位一体という言葉のうちに表現されています。
 わたしたちが信じている三位一体の神様は、わたしたちの人生の歩みの確かな道しるべであります。
主に感謝します。