2010年1月17日  顕現後第2主日 (C年)


司祭 ヨブ 楠本良招

「カナの婚礼」【ヨハネによる福音書2章1節〜11節】

 以前にベテル聖書主催の聖地旅行で、少し寒さが残る早春の季節にガリラヤのカナを訪れたことありました。イエスさまのカナの婚礼に6つの水がめの水をぶどう酒に変えた物語の教会ですが、6つの水がめが置いてあり、奇跡が起こったような印象を受けました。そこが本当の教会かどうかは分かりませんが、感動を覚え、カナワインを購入したことがありました。又、エジプトでの宿泊ホテルではアラブ系の結婚式に遭遇したことがありました。男性は真白い衣装と女性はカラフルな衣装でしたが、賑やかな印象を受けました。
 イエスさまは、ある農家の結婚式に招かれ、何人かの弟子達を連れて出席しました。母マリアも出席していたのですから、近い親戚だったのかも知れません。親族や友人も大勢集まっていたのでしょう。イエスさまが招かれた結婚式も賑やかさが伝わってきそうです。集まった親族たちは多いに飲み、食べるうちに、主人側が用意したぶどう酒が足りなくなってしまいました。
 母マリアは、息子イエスさまのそでを引っ張り、物かげに連れて言いました「ぶどう酒がなくなりました」。
 イエスさまの返事は冷たく、まず「母よ」とは言わないで、「婦人よ」と、冷たく突き放すように言っています。「わたしとどんなかかわりがありますか。」
 わたしの使命はそんなところにはありません。「わたしの時はまだ来ていません。」
 冷たく拒否した息子イエスさまに、何と言われようとも、母マリアはその家の召し使いたちに「この人が何か言いつけたら、そのとおりにしてください」と言いました。
 どんなに冷たく、残酷に見えるようなイエスさまの言葉であっても、母マリアは息子イエスさまへの大きな信頼がありました。必ず何とかしてくれる、足りなくなったぶどう酒を、きっと救ってくれると信じたのです。
 母マリアの召し使いたちへの語りかけは、何の疑いもありませんでした。
 普段は家の入り口に清めの石のみずがめを6つ並べてありました。
 召し使いたちは「水がめに水をいっぱい入れなさい」と言うイエスさまの命令に従い、世話役のところへ持って行きなさいと命じられました。
 変わったぶどう酒は最上のものでした。宴会の世話役は花婿を呼んでほめました。
 そのあとです。初めての有名なぶどう酒の奇跡が行われました。「あなたは良いぶどう酒をいままで取っておかれました。」とほめたのです。
 花婿花嫁にとっては、生涯最良の日となったでしょう。
 しかし、水をくんだ召し使いたちはイエスさまに言われたことを知っていました。
 イエスさまはこの宴で、ぶどう酒が尽きた時、水をぶどう酒に変える奇跡によって、婚宴のピンチを救われました。
 母マリアは息子イエスさまの冷たい言葉にもかかわらずにイエスさまへの大きな動くことのない信頼が、奇跡を生じた発端でした。これによって、弟子たちはイエスさまを信じたと、福音書は終わっています。
 この奇跡物語は、信じる者には必ず良い結果があると良く分かる聖書の箇所です。