司祭 ヨハネ 井田 泉
小羊の血で洗われ─諸聖徒日に寄せて
イエスさまはあるとき、ペテロ、ヤコブ、ヨハネの三人の弟子を連れて高い山に登られました。山の上でイエスさまの姿が変わり、その服は真っ白に輝きました。
ヨハネの黙示録第7章は天上の礼拝の情景を伝えています。父なる神とイエス・キリストの前に数え切れないほどの大群衆が集まり、叫びます。
「救いは、玉座に座っておられるわたしたちの神と、小羊とのものである。」黙示録7:10
見ると、その人々は皆、白い衣を身に着けています。白い衣─これはあの山の上で輝いたイエスさまの服と同じです。イエスを包んでいた神の愛と平和が、今、神とイエスを礼拝する人々を包んでいます。
この天上の礼拝の光景を見つめていたのは、迫害を受けて地中海のパトモス島に幽閉されていた長老ヨハネです。ヨハネには分かりませんでした。なぜ人間が、イエスさまと同じ輝く衣を着ているのか。そのような清い人間がいるのでしょうか。現実の世の中に生きれば、この世界の悪に苦しみ、自分の罪に悩んで、救いようもなく汚れてしまうのが自分たちではないか。そのような人々とはだれか、どこから来たのか、ヨハネには分かりませんでした。
ところが天の長老はこう言います。「彼らは大きな苦難を通って来た者で、その衣を小羊の血で洗って白くしたのである。」7:14
彼らは、この世界と自分に悩み、苦しみ、汚れた者であったけれども、小羊の血で洗って清くした。神の小羊、イエス・キリストが血を流して死んで、その貴い血によって洗われ、清められた。イエスさまが、この世界と私たちの悪と罪と汚れを引き受けてそれを全部引き取って、洗い清めてくださった。そして私たちはイエスさまのゆるしと救いと愛と平和を受けた。イエスの流された貴い血が、この人々を完全に清めたのです。
天に先に召された人たちにはこのことがすでに起こっている。あなたも、あなたがたも、この世で苦しみ、自分に悩んでいるならば、同じ真っ白の衣を着せられる。
私たちがイエスさまに招かれるということは、このようなことです。イエスさまの輝く衣を与えられて、それによって身も心も包まれて、自らも輝く。先に天に召された人たちがそうです。そして地上を旅する私たちにも、同じ衣が与えられています。イエスさまから与えられたのです。
神の子イエスさまの輝く光を受けて自らも輝き、周りを照らして他の人をも励ます。そのような真っ白に輝く衣を身にまとうことにおいて、天に召された人たちと私たちとは一つなのです。