2006年7月30日  聖霊降臨後第8主日 (B年)


司祭 バルトロマイ 三浦恒久

「安心しなさい。わたしだ。恐れることはない。」(マルコによる福音書6:50)

 五つのパンと二匹の魚で五千人の空腹を満たされたイエスは、弟子たちを強いて舟に乗せ、向こう岸のベトサイダへ先に行かせ、イエスだけはひとり祈るために山に行かれました。
 舟が夕方の湖の真ん中に行ったとき、逆風が吹き、弟子たちが漕ぎ悩んでいましたが、それを見て、イエスは夜明けごろ湖の上を歩いて弟子たちのところへ行き、そばを通り過ぎようとされました。弟子たちはそれがイエスだとは気づかず、幽霊だと思いおびえました。
 この出来事には、二つの疑問点があります。それは、なぜイエスが弟子たちだけを強いて舟に乗せたのかということと、弟子たちが湖の上で漕ぎ悩んでいるのを見て、イエスが弟子たちのところに行かれたのに、なぜそばを通り過ぎようとされたのかということです。
 この疑問を解く鍵が、「あなたがたは、人が自分の子を訓練するように、あなたの神、主があなたを訓練されることを心に留めなさい」(申命記8:5)というみ言葉の中にあります。イエスの不可解な行動は、イエスが弟子たちを訓練しようとされたのだということで合点がいきます。イエスは弟子たちを訓練されました。ただ一つのことを教えるために。
  「安心しなさい。わたしだ。恐れることはない。」(マルコ6:50)
聖書は一貫して、わたしたちに告げています。多くの出来事を通して。また多くの人物の口を通して。そして、イエスの言動を通して。
  「この四十年の間、あなたのまとう着物は古びず、足がはれることもなかった。」(申命記8:4)
  「恐れるな。わたしはあなたと共にいる。」(イザヤ43:5)
  「神はわれわれと共におられる」(マタイ1:23)