『機関車トーマス』は以前民放テレビでやっていましたが、先日NHKのテレビで劇場版のものが流されていて驚きました。前は乗り物の模型が走ったり、トーマスなどの目が動くだけのものだったのですが、今回はCG(コンピューター・グラフィックス)でできていて、これも驚きました。人間は全く動かない人形を映していただけだったのに、CGになると歩いていたり表情があったりします。乗り物の顔もいろんな表情が出ていました。
原作『汽車の絵本』の作者は英国の牧師さんで、お話の内容はとても素直なものです。「役に立つ機関車」という言葉がよく出てきますのでちょっと抵抗があるのですが、「怖いって言えるのは、本当は勇気があることなんだ」という素敵なセリフもあります。ただ、CGだと、もともとの素朴さが薄らいでしまうのではないかと思いました。動かない映像だったからこそ、そこから想像することが大きかったのではないかと思ったのです。
「絵本から模型の映像になってCGになってしもて、想像の幅がどんどん限られてしまうなあ」とブツブツ文句を言っていたら、「新しいもんから何か発見したり気づいたりすることもあるやんか」と相方に鋭い指摘をされました。
そう言えば、聖書もラテン語、各国語訳、絵画、映画など、様々なメディアが発達し、それらを通して福音が伝えられてきました。一つの時代の中でイエス様を通して伝えられた福音が、これからも多様な媒体を通して伝えられていくでしょう。また、聖書の翻訳はより的確なものが求められ、祈祷書も聖歌集も、神様への思いを一層豊かに表現するものとするために時代が移るにつれて改訂されていきます。
トーマスのCGから新しく気付いたことは、まだありませんが。
(教区主教)
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