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日本聖公会各教区報のなかから
☆毎月、広報主事宛に送っていただく各教区報等のなかからご紹介しております。


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インドネシアでの働きを終えて
仙台聖フランシス教会 マーガレット 大浪 聡子
東北教区報「あけぼの」
(第89巻第10号・2002年10月6日発行)

 私は2000年7月から2年間、青年海外協力隊員(助産婦)としてインドネシアのジャワ島に派遣され、地域母子保健活動を行ってきました。インドネシアは多民族国家で、勿論文化も宗教も多様です。彼らは自分とは異なる宗教も否定せず、互いに認め合い共存していくという考え方を持っています。任地はイスラム教徒がほとんどでしたが、恥ずかしいことに私はイスラム教について何も知識を持たずに赴任しまして、彼らからキリスト教との関係を教わるといった具合でした。同一神を信仰しているという安心からか、イスラム文化の中で私は全く窮屈さを感じずに暮らすことが出来、同時に彼らの宗教に対して理解を深めることが出来ました。テロ事件の影響で イスラム教=悪のようなレッテルが貼られたような感がありますが、興味深く素晴らしい宗教だと私は思っております。

 さてインドネシアは途上国の例に漏れず、絶対的に医療施設、医療者が不足しており、国家予算でも医療にかける割合は少ないのが現状です。母子の死亡率は減少傾向ですが、まだまだ高率です。医療者が少ないので、予防医学が非常に重要であることは言うまでもありません。総合保健ポストというものを町内会単位で月に一度、世話役の家の軒下で開くことが義務付けられており、そこで乳児健診や妊婦健診、一般診療などが保健ボランティアや助産婦の手により行われます。私の活動の拠点はそこだったわけです。彼らと共に働きながら「母子保健サービスの向上」という気が遠くなるような目標に向かい、試行錯誤し活動してきました。妊婦や母親、保健ボランティアに対して直接、保健指導を行うのですが、助産婦たちに解ってもらわなければ私の活動は意味を成しません。しかし文化や習慣、宗教、考え方、認識、感覚、言葉が違うということは即ち何もかも違うということです。活動は異文化適応・相互理解の元に、とは言え、それは想像以上に困難でした。逃げたいと正直思うこともありましたが、神様は希望を与えてくれました。いつか理解者が現れ、彼らと共に未来を見ることが出来たのです。

 貧富の差は、多くが「平均」の私たち日本人には到底理解できないほど大きな格差と悲しみを生みます。それでも人々はその中で祈り、幸せを見つけ、暮らしています。「すべては神様の御心のまま」という彼らがよく口にする決り文句があります。彼らの在り方がそれに集約されているような気がするのです。悲しみ、と私は前述いたしましたが、それは私の価値観であり、彼らには神様の御業なのかも知れません。インドネシアのどの島に行っても、必ず神様が強く住民の心の中に生きています。経済的・物質的に発展していない地域ほど人々が幸福に見えたのは私の錯覚でしょうか。貧しい(これも私の押し付け価値観かもしれません)中で、彼らは日々笑顔で感謝の暮らしをしています。神様の恵みと家族単位を越えた地域社会の強い絆…それで彼らは素晴らしく豊かな「生」を送っているのです。

 勿論私はそこに現代医療を持ち込む気は全くありません。小さな「気付き」(予防医学の基本)を持つことで、どれだけの悲しみの涙=病気や死を減らせるでしょう。彼らの文化と共存する国際協力が必要なのだと感じています。

 世界には私たちの想像が及ばないことが多くあります。夢でも、違う世界のことでもなく、私たちが立つ延長線上の世界各地で「今」起 きている様々な事実を皆が意識することから、明るい未来が開けるのではないでしようか。
 非常に貴重な経験と、多くの学びを得る機会を与えてくださった神様に感謝いたします。






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ハルモニの話を自分の耳と心で聞きたい
マーガレット 呉屋 淳子
沖縄教区時報
(第440号・2002年9月20日発行)


 毎年、夏の恒例イベントになっている、日韓聖公会青年キャンプは、今年で8回目を迎えた。私は、大学時代からこのキャンプに参加している。今年で4回目である。社会人になってもキャンプに参加する事ができてとてもラッキーと思うと同時に、私をキャンプに誘ってくれる方々やバックアップしてくださる方々に感謝で一杯である。

 今年の青年キャンプは、ソウルとヨンスリの2か所で行われた。日本人キャンパーは、学生、社会人、主婦ととてもユニークなメンバーでの参加となった。

 ヨンスリという町は、仁川国際空港から車で約3時間の所にある静かな農村。ここでは、土砂崩れのあった道の補修作業を行った。高層ビルが立ち並ぶソウル市内からは想像もつかない程、自然に囲まれた村、ヨンスリ。ワークショップの後に食べる食事は忘れられないくらい美味しかった。

 ツアー旅行では口にする事ができない、韓国の家庭料理をそこでは毎日食べさせてもらった。かなり贅沢な思いで味わった。2泊3日のワークショップを終えて、次は、「ナヌムの家」を訪れた。韓国には元日本軍「慰安婦」のハルモニ達が共同生活をしている家がある。それが「ナヌムの家」である。「ナヌム」とはハングルで「分かち合い」という意味でそこでは、元日本軍「慰安婦」の韓国人ハルモニ達が仏教団体の支援を受けながら、文字通りの共同生活を送っている(韓国・朝鮮ではお年寄りの女性を、親しみと尊敬を込めてハルモニと呼ぶ)。私達がこれまで教科書で学んだ「従軍慰安婦」の問題は、ハルモニの実際の体験談を聞くやいなや、あれは日本軍からのみの見方の話だという事が分かった。本当にショックである。ハルモニ達が必死で歴史を正そうとしている姿にハッとした。自分達のおじいちゃん達が起こしたこの問題を、知らんふりする事ができるだろうか?日本人としてではなく、人としてまた、共に生きていく為にはとても大事な問題ではないだろうか?

 毎年、青年キャンプに参加する度に課題を持ち帰ってくる。しかし、日本人の悪いクセなんだろうか、日々の生活の忙しさに、忘れてしまいがちなのである。私は、今度のキャンプに参加して、人と人とが共に生きる為にはどうあるべきか、何が必要なのかという事を思った。今いち私には、努力も強さもまだ足りない。世界中にはさまざまな問題が多くあるが、まずは、この目で見てきたものからしっかり考えてみたい。次は日本での開催予定である。来年また会う韓国人キャンパーと韓国語で語り合えるようになりたい。そして、ハルモニ達の話を今度は通訳なしで、もう一度自分の耳と心で聞きたい。そこからまた違う何かが生まれるにちがいない。

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韓日聖公会青年交流キャンプに参加して
横浜山手教会 ピレモン 遠藤 仰
横浜教区報
(第449号・2002年9月25日

 「平和、生命、和合」をテーマとした今回の韓日聖公会交流キャンプは、韓日あわせて36名の青年が、韓国のヨンスリ教会、聖公会大学に宿泊して、一週間共に遊び、学ぶというものでした。ヨンスリ教会は山の奥深くの小さな村にあり、そこで大自然に囲まれながら、都会の生活とはかけ離れたのんびりとした3日間を過ごしました。聖公会大学は、一変してソウルの大都会の中にあり、そこでは皆自ずと少しあわただしい生活を送っていたようです。

 僕にとって一番印象深かったことは、「ナヌムの家」という施設に共同生活をしている元挺身隊(従軍慰安婦)の方たちの一人である李さんの話です。最初、李さんは僕たちがびっくりするほどの笑顔で姿を現しました。しかし、戦時中の体験を話しはじめると、李さんの表情は怖いくらいに痛々しいものと変わりました。話が終わると、また以前の笑顔に戻っていましたが、見ていて、とても胸が痛かったです。もし自分があれほどの悲しみを背負わされたならどうしただろう、と考えました。

 聖公会のもつ独特の雰囲気は日本でも韓国でも変わらず、心地良い連帯感の中で日本語、韓国語、英語をおり交ぜながら色々な話を、日本人とも韓国人ともしました。信仰についてやテロについてなど真剣な話をすることもあれば、本当に下らない冗談を言いあうこともありました。韓国側のキャンパーに日本語を話せる人が多かったので、思っていたより、たくさん話をすることができました。
キャンプの間ずっと「わかりあう」ということと、「友達」ということについて考えていました。韓国語が全くわからなくても、必死に自分の気持ちを体で表現し、また相手のことを知ろうとする友人たちを見て、心の底から相手に伝えようとすれば、きっと伝わるのだと思い、新しい息吹を自分の中に吹きこまれたような気がしました。

 言葉などなくても、心から思うことは必ず相手に伝わります。そしてなんらかのかたちでわかりあえる仲間たちを「友人」と呼ぶのかもしれないと思いました。

 素晴らしい機会を与えられ心から感謝します。


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ユース・リーダーシップ・トレーニングに参加して
神戸聖ヨハネ教会 バルナバ 水野 宏明
神戸教区「神のおとずれ」
(第461号・2002年9月22日発行)


 8月9日から13日まで長野県の飯綱高原で、聖公会青年のためのリーダーシップ・トレーニングに参加してきました。そこには全国からスタッフを含めて30人弱の参加者が集まり、学びと交わりの時を持つことができました。まず、初日はゲームなどを通して交流を深めました。

 2日目の午前中は聖書について、午後は聖公会について西原廉太司祭の講義を受け、また同時に班に分かれて話し含い、その内容を発表しました。

 3日目は「ロメロ」というエルサルバドルの司祭の生涯を描いた映画を観賞しました。そこでは、言葉では言い表せないぐらい多くのことを考えさせられました。

 4日目は前日の「ロメロ」を観賞しての感想や、「この世からなくしたいものは何か」を話し合いました。ここでは、考えの違いからふたつのグループに分かれたりすることもありましたが、それは真剣に考えた結果であったと思います。

 最終日は、誰とも話さずに5日間のことをじっくりと考える時間を持ちました。

 僕はこのトレーニングの5日間はとても充実していた期間であったように思います。普段はほとんど考えないことをじっくりと考えたり、普段から考えていることでも様々な人の考えを聞くことによって、改めて人それぞれによって考え方が違うということを実感し、影響したり、されたりしたからです。また、始めは知らない人ばかりだったのですが、話し合いを重ねるごとに互いに相手がわかってきて、最終的にはとても仲良くなれたこともその要因だと思います。

 今回のトレーニングで学んだことや得た人脈を、これからの自分、教会では特に青年会活動で生かせたらいいなと思っています。