日本聖公会
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■管区事務所だより第189号もくじ■

Page1 □聖公会平和と正義ネットワーク会議に参加して □人権の問題を考える出発点 □台風23号・新潟中越地震 被害状況について
Page2 □会議・プログラム等予定 □主事会議 □各教区 □人事・移動 
Page3 □日韓聖公会宣教協働20周年記念大会報告 □日韓聖公会宣教協働20周年記念大会共同声明 □日本聖公会の対外援助と現地の情況 □NCC中国訪問代表団参加報告


 
管区事務所だより
2004年10月25日 第189号
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聖公会平和と正義ネットワーク会議に参加して
 □人権の問題を考える出発点
□台風23号・新潟中越地震 被害状況について


聖公会平和と正義ネットワーク会議に参加して

北海道教区主教 ナタナエル 植松 誠
   聖公会平和と正義ネットワーク(Anglican Peace and Justice Network)の会議が、9月14日〜22日、エルサレムの聖ジョージカレッジを主な会場として開催され、世界の聖公会の23管区からと聖公会国連オブザーバーや現地アドバイザーなど総計32人が出席し、日本聖公会からは、ネットワークの常任委員である輿石勇司祭(北関東教区)と私が参加した。
 この会議に参加するのは私にとって初めてであったが、以前何度か「聖地巡礼」として訪れたことのあるイスラエルの現状を自分の目で確かめたいと願っていたこと、また、十数年前に来日されたエルサレム教区のサミール・カフィティ主教(当時)から、「あなたがたは聖地に来て、生命の無い遺跡や建物(教会)ばかり見ているが、そこに住んでいる生きた人々、特に聖公会の信徒たちには会わないで帰る」と言われたことが、ずっと胸に残っており、今回、パレスチナの人々に会いたいという強い思いを持って参加した。正式な報告書は後日出されるので、ここでは私の見たこと、感じたことを少しだけ述べたいと思う。

 聖公会平和と正義ネットワーク会議は過去何回か開催されたが、毎回、世界各地で、またグローバル化の中、世界規模で起きている平和と正義の問題に関して取り上げ、協議してきた。今回の会議でも、戦争と地域紛争、貿易と貧困、環境問題、HIV/エイズ、神学教育、性(ヒューマン・セクシュアリティ)、女性と子ども、などの分科会で熱心な議論がされ、何度かの全体会を経て、最終日にはそれぞれの分科会からの聖公会中央協議会(ACC)への提案がまとめられた。紛争やエイズで、毎日多くの人々が死んでいく地域からの参加者の報告や体験談には、日本にいては決して知ることのない、信じられないほどの現実があることに圧倒される思いであった。

 この会議は、毎回、開催地固有の問題にも関心を持ち、その地での平和と正義のために働いている人々との連帯を深めることも重要課題としている。今回、イスラエル・パレスチナで開催されたのも、世界の教会がこの地でパレスチナの人々に連帯を示す表れであった。初日から積極的に、イスラエル・パレスチナ問題に関しての講義と現地学習に取り組み、その中で、9・11以後、「テロリストと闘う」という大義を得て、パレスチナ人の存在そのものを否定するかのようなイスラエル政府と軍によるパレスチナ人へのあらゆる形態での抑圧・虐待・搾取を目の当たりにすることになった。国連によって決議された自分の国(それさえもパレスチナ人には不当なもの)での自由をすべて奪われ、高さ8メートルの壁とイスラエル軍の戦車や銃に囲まれたパレスチナ人は、刑務所の囚人のようであった。言い尽くせぬ怒りと悲しさが参加者一同を包んだ。

 ナザレの近くの聖パウロ教会を訪問した時、一人の年配の女性が私に尋ねた。「日本の聖公会の人たちは、私たちがここにいるっていうことを知っているのかしら」。日本聖公会のすべての人々が、今、パレスチナの人々に心を向けられるようにと願い祈る。




人権の問題を考える出発点

管区事務所総主事 司祭 ローレンス 三鍋 裕

 10月18日から福岡で日韓聖公会宣教交流20周年大会、続いて主教会。25日と26日は大阪で人権担当者の集い。やっと無事に全部が終わりました。九州教区の皆さんには本当にお世話になりました。特に五十嵐主教様と福岡の濱生司祭は人権担当でもあられ、10日連続でお世話になりました。この10日の間に台風23号と中越大地震の被害が発生しました。

 さて、これを書くと、また横浜教区の先輩から「おまえの耳が悪いことは管区に関係ないことだから管区事務所便りなんかに書くな」と叱られそうですがゴメンナサイ。人権担当者の中にも聴覚障がいの方がお一人おられて、不自由さを話しておられました。音としては補聴器のボリュームを上げれば聞こえるのですが、言葉として聞き取れないのです。例を挙げますと、数字と習字、独奏会と独唱会、今週と昆虫、少女と長女、恩師と音痴などは同じに聞こえて区別が出来ないのです。前後関係で瞬時に判断するわけで、間違えてご迷惑をかけることもありますが、ひょっとしたらそんな作業が出来る私って素晴らしいのかも知れないですね。ベストとテスト、3台と3倍、団地と番地も苦手。偽物と見世物や、根が出たと芽が出たなんかは間違えると意味が正反対になりかねません。大変なのです。

 今回の台風と地震の被害で避難所生活をしておられる方々、本当にお大変です。その中でも高齢者や身体に不自由さを持った方々のお大変さをお察しするのです。寝ているときには眼鏡や補聴器を外しますから、持って逃げられなかったかもしれません。その前に避難指示のアナウンスが聞こえなかったかもしれません。まして雨と風の音の中では。阪神大震災の避難所では「水と食事を配りますから取りに来てください」のアナウンスが聞こえず、食べられなかった人がいたそうです。外国人も同じだったかもしれません。ニュースで避難所の様子を見るたびに思い出すことなのです。

 人権担当者の集いで話題になっていました。以前は礼拝での手話通訳が目障りだと言う人がいたけれど、今はさすがにいなくなった。しかし静かで美しい礼拝を大切にする余り、静かに出来ない人を排除してはいないだろうか。幸い?私は耳の問題は理解が出来ます。しかしきっと気付くことさえない、他の人の不自由さや必要が無数にあるだろうと思うのです。理解できない弱さをも含めて、お互いの弱さを理解し合いたいと思うのです。被害に遭われた方々のことを思いながら、特にその中でも不自由さを持った方々を思いながら、しかし今まで気が付かなかったことを、お互いに気付き合う折とされることを願っています。人権とはこのあたりから出発するような気がするのです。





台風23号・新潟中越地震 被害状況について



- 台風23号による被害状況 ---

京都、神戸両教区よりそれぞれ以下の報告を受けました。(10月25日現在)

〈京都教区〉
宮津聖アンデレ教会:床下浸水。町中が泥の海になり、市がボランティア・センターを開いている。TEL 0772-20-1105
加悦聖三一教会:聖堂の建替え工事中だが、被害なし。幼稚園が仮園舎としているお寺も被害なし。
東舞鶴聖パウロ教会:礼拝堂等雨漏り程度。
小浜聖ルカ教会:国の登録文化財に指定されている礼拝堂の屋根瓦等が飛んだりゆるんだりして、全面的な改修が必要な状態である。

〈神戸教区〉
洲本真光教会:洲本川の氾濫により、一帯が床上浸水。教会近辺は1〜2メートルの高さまで水がきたが、教会・牧師館は、高床の日本家屋のため床上20センチ程度の浸水。信徒宅も被害はあるが、大きなけが等は無い模様。
鳴門聖パウロ教会:礼拝堂が老朽化しているところに台風の連続被害が続き、近隣への危険もあるので、取り壊さざるを得なくなっている。
その他、四国各地の教会で床下浸水等があった。



- 新潟中越地震による被害状況について ---

中部教区事務所よりの報告

10月23日夕に発生した新潟県中越地方を震源とする地震について、現在のところ新潟・三条・高田・直江津の各教会では大きな被害はなかったとのことです。

長岡聖ルカ教会:10月24日大西司祭より

建物の倒壊などの大きな被害はなし。教会の牧師館はガラスが破損し、玄関が壊れた。中は家具が倒れるなどさまざまな物が散乱したが、牧師館は一通りの片づけを終え、居住できるようになった。 教会の状況も牧師館と同様であるが、物が少ないため簡単な片づけをすればとりあえず礼拝はできる状態。周辺は大変な状況。

24日に教会周辺ではライフライン(電気・ガス・水道)がすべて復旧。電話事情も改善し、連絡が取れるようになった。

全信徒17〜18軒中、全壊などの大きな被害はなく、瓦が落ちたなどの被害が2軒ほど。ガス不通が4軒くらい、水道・電気不通が1軒。山沿いの家の被害がひどく、今夜をテントで過ごすという家庭もある。併設の保育園児の家庭7軒中、2軒が修理が必要な被害を受けた。しかしながら、避難生活をするにしても、よほど危険な状況でなければ必要な物を家に取りに入ることもできる。 震度3〜4の余震が頻繁にあり不安。余震のある中で自宅にいるのがいやで、避難所に行っている人もいる。

保育園については、余震がひどいためとりあえず25日は休園とした。他の小・中・高も同じ状況で、大学も休みのところが多い。

ボランティア等の問い合わせもあるが、教会関係でボランティアが必要な状況は今のところない。大きな被害を受けている所はあるが、素人の手には負えないのが現状。


新潟聖パウロ教会・三条聖母マリア教会:10月26日夕 丁司祭(新潟)より

激しい揺れで多少ものが落ちたりはしたが、それ以外には大きな被害はない。
ライフラインを含め、ほとんど被害はなかった。


高田降臨教会:10月26日午前 森田司祭より

高田の震度は23日(土)17:56の第1波が6、18:34は5であった。余震の回数も強さも徐々に減少しているものの、非常持出袋を常時、身辺に置き、警戒体制を継続中。
24日(日)は余震が続く中、50人近い出席者を得て、逝去者記念礼拝・納骨式を金谷山の聖公会墓地で挙行(直江津も合同)。
25日夕方から予定していた中部保育会園長会は、事務局の新潟県内の園長たちの事情により、急遽中止した。
森田司祭は今日あたりから、余震におびえている独居老人のお宅などを問安の予定。


直江津聖上智教会:10月26日夜 田中執事より

長岡からは80キロほど離れているので、揺れはひどかったものの、教会、幼稚園、信徒のお宅、園児の家庭も棚から物が落ちる程度ですんだ。

当日は、市内は学校や保育園を中心に避難所が開設され、地区によっては利用者もいた。市の防災放送は良く聞こえ、消防車も巡回していた。しかし翌日からは、有感地震の時に消防車が警戒を呼びかける程度。
月曜日から幼稚園は普段どおりに活動している。

本日ホームセンターに行ったところ、単一の乾電池が全く無く、練炭や七輪、卓上コンロやボンベは、被災地区に優先的にまわしていることと、被災地に届ける親族によって買い込まれているため、まったく見あたらない。

被災地から高速で1時間の距離にある無傷の大きな市ということで、一種の基地的働きをしているようだ。現地に近づく道路が限られていて、一般者車輌は来ないように指導されており、現地に行くのはかなり困難なので、そちらに親族がいる人以外はあまり動いていない。


*  *  *  *  *
以上が現在連絡の来ている被害状況です。新潟中越地震については中部教区のホームページに情報が随時更新されています。http://www.nskk.org/chubu/をご覧ください。

中部教区では、教区内の教会・諸団体に向けて、以下の要項で「新潟県中越地震被災者支援募金のお願い」を出しています。

募金期間(第一期):2004年12月末日まで
募金宛先:日本聖公会中部教区
郵便振替口座:00810-0-6170

口座名「日本聖公会中部教区」
 *必ず「新潟県中越地震被災者支援」と明記してください

連絡先: 日本聖公会中部教区事務所
Tel:052-858-1007
Fax:052-858-1008
E-mail:office.chubu@nskk.org





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