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部落解放セミナー・フォロー・アップ学習会の報告

 管区の機構改革がすでに行われた中で、部落差別問題委員会の見直しと、20回にわたって行ってきた部落解放セミナーの振り返りをしましょうということで、このフォローアップ学習会が行われました。

 また時を同じくして解放運動にあっては、「特別措置法」の期限が切れ、失効し、さらには新しく「人権擁護法案」が出される中で、部落解放運動がどのような局面を迎えているかを学ばせていただきたいということで、この学習会が行われました。

 11月16日(水)〜17日(木)の一泊二日で、三年前に解放セミナーの会場となった千葉県の久留里を再び訪れ、部分参加を含めて12名(内6名は部落差別問題委員)の参加者が与えられました。

 一日目に、鎌田行平さん(部落解放同盟千葉県連合会事務局長)からは、「人権擁護法案の動向と部落解放運動の今後」というテーマで、また小林康之さん(部落解放同盟・干葉県連合会久留里支部支部長)と小林享子さんからは、「法期限後の運勤と地区の生活」というテーマで、それぞれのお話をしていただきました。

  ―鎌田さんのお話―
 人権擁護するための所轄管掌は、法務省や検察庁などの政府関係から独立した機関が、これに当たる必要がある。

 人権が具体的に擁護されるためには、次の三つの柱が建てられることが必要。

 @法的規制と救済する法制度
 A是正措置―被差別者、少数者が擁護されるための罰則、罰金という是正措置が必要
 B文化の改革―差別が生まれる文化の改革、人権が大切にされる文化の構築

 これらの人権政策の三本柱を満たす内容をもつ期限の無い人権基本法を作っていかなくてはならない。

  ―小林泰之さん―

 同和対策事業で、奨学金を貰ったり、住宅が改良されることによって、みんなただで特別な処遇を受けているといわれ、かえってわたしたちに対する差別はひどくなった。

 そのとき以来、自分のクリーニング屋のお客は、殆ど来なくなってしまって、本当に細々としか仕事はできなくなっている。

 地域のために作られた集会所も、それを利用すると、自分たちも同和の人と同じだと思われるからと言って利用する人が少ない。

 お墓は、未だに改善されず、全く薄暗い、誰も今後利用することのないような、訪れる人もいなくなってしまうような状態にある。

 支部は、今は6世帯しかなく、この久留里の町の中で、運動らしいことも殆どできない状態である。
同和ということを隠して、女の人は結婚している。40年代の男の人は、未だに、結婚できないままでいる。恋愛することはできない。

 自分の土地を消したいという理由で、土地を捨てた人もいる。
同和対策事業によって解放され、大手を振り生活ができるかと思っていたが、全くそうでなく、その逆であった。

 これらの証言から、今もこの地域で、また千葉というところで、陰湿な部落差別が行われ、そんな中で痛み苦しんでいる姉妹兄弟がいらっしゃることをはっきり知らされました。

 しかし、そのような全くの少数の中で、細々とした中にあっても、力強く、また明るく運動の担い手として生きている夫妻に今回もお会いできました。

 今回の、この学習会も、その準備のときから、親しく、温かくわたしたちを迎えてくださり、様々なおもてなしと快いご協力をくださいました。

 二日目には、久留里城の歴史資料館を訪れ、房総の要所にある久留里城の警護と、物資の運搬に従事されていた跡を垣間見ました。

 地区視察では、三年前と殆ど変わることの無いまま放置され、それ以後の改善は見ることができませんでした。

 最後のセッションでは、「聖公会における部落解放」というテーマで話し合いました。そこで話されたことを箇条書きにします。
現地へと出かけていき、当事者と出会い、当事者からの証言を聴くことのできる解放セミナーが、これからも企画されることの必要性が確認された。
運動体との連帯、集まりや企画の情報の確認及び参加の必要性。
互いの意見交換をしながらの学びとしての委員会であってほしい。
啓発には時間はかかるが、地道に継続していくことが大切。
地区の方や、多くの信徒とともに聖書勉強会をぜひやっていきたい。差別とか、解放ということを始点として読んでいく。
地区の人たち、差別の現実に身を置いて、そこにある課題と向き合いながら読んでいく。
教会の中で、信徒とともに部落差別問題について積極的に話していくこと。
教会の信徒の中に被差別部落の方々、在日の方々がいらっしゃるということを前提として教会のいろいろなことを考えていくこと、歩いていくことが大切。
しかし、部落出身宣言することを求めるようなことはしてはならない。それはとっても辛いことである。
社会の周縁に置かれている人たちのところに立ち、周縁者の側に立ち、その人たちの視点をもって聖書を読んでいくこと、それが、イエスさまの視点、イエスさまの立っているところに立つことである。
悲しくても、辛くても、それに向き合っていくこと。
地区の人は、こういうセミナーの中でいろんな配慮をしてくださる。
 今回も、こんな豊かな様々な祝福とお恵みが与えられました、学びの時が与えられましたことを感謝しています。
 そしてこの戴いた様々なもの、事柄を、正義と平和委員会の方々、そしてそのメンバーの鍋島兄、佐々木姉にお預けして、これからの日本聖公会の管区の部落解放運動が豊かに行われていくことを願いながら解散しました。
(司祭 マルコ 高田 眞)
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