18:28 2018/10/15 東京聖テモテ教会 - 主日の福音

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★太田信三 司祭による主日の福音

★主日の福音(2025年8月10日)
(聖霊降臨後第9主日・特定14、C年)「小さな群れよ、恐れるな」(ルカによる福音書12: 32-40)
 ルカによる福音書の第9章から始まった、イエスのエルサレムへの旅=ご受難への旅が進むにつれ、弟子たちは今後のことを心配し、恐れを感じ始めています。師であるイエスの立場のみならず、自分たちの立場も危うくなるかもしれないという恐怖が大きくなってきています。その弟子たちに向かってイエスは、「小さな群れよ、恐れるな。あなたがたの父は喜んで神の国をくださる。」と言われました。
 神の国こそ、私たちクリスチャンの目的地です。しかし、目的地は分かっていても、道を外れてしまうのが人間の弱さ、罪というものです。「あなたがたの宝のあるところに、あなたがたの心もあるのだ」とイエスは言われましたが、どうしても人間は不安や恐れの中で、安心や保証を求め、目に見える宝に心を注いでしまうものです。先週の福音で「愚か者」とされた人もそうでした。また、戦争を繰り返す愚かな人間の根底にも、この「恐れ」があるように思われます。イエスは、「目をさましていなさい」と言われますが、目を覚ましていることなど人間にはできないのです。しかしイエスは、その人間の弱さを心底ご存知です。だからこそ今日もまた、たとえ話しによって弟子たちに神の国を明らかにされるのです。そこに希望、喜びがあるから、恐れなくても大丈夫だと伝えてくださるのです。
 今日のたとえ話しの後半では、主人自らが腰に帯をしめ、僕たちを席に着かせ、そばに来て給仕をすることが語られます。この食卓こそ、来るべき神の国の光景です。主の給仕のもとで真の喜びに与るこの食卓のなんとすばらしいことか。もしも主人が必ず帰ってくるとわかっているなら、さらに、その主人が帰ってきたときには最高の食事が待っていることを確信しているなら、その帰りが待ち遠しくてしかたがないはずです。この主人こそ、私たちの神です。神ご自身がこの喜びの時を用意し、約束してくれているのだから、「恐れるな」と、イエスは言ったのです。
 「目を覚ましていなさい」という言葉だけ聞くと、それはただ厳しい義務を課されているようにしか感じられないかもしれません。しかし、イエスは同時にその先の喜びを、希望を示してくださったのです。その希望、喜びの光に照らされるからこそ、私たちは恐れの中にあっても、歩み進めることができます。「小さな群れよ、恐れるな」という力強い励ましの言葉の裏には、神にある喜びへのイエスの確信と、信仰の真実があるのです。

★主日の福音(2025年8月17日)
(聖霊降臨後第10主日・特定15、C年)「火」(ルカによる福音書12: 49-56)
 外交の場面や政府の方針演説などで、「平和のため」というような言葉を聞くことがあります。しかし、「平和のため」という号令は大概、自国のため、自分の民族のため、自分の家族のため、という枕詞が付くものです。そこには、「平和のためだから仕方がない」と、排除され、無視され、抑圧される命があります。また、「仲良きことは美しきかな」にも危険な側面があります。組織とか集団コミュニティの論理が個人の意思よりも優先され、同調圧力が強まり、個人が見えなくされます。和を乱すものは悪とされ、少しの逸脱も許されない。それができないと排除される。そのなかで人は、排除の対象にならないように、自分を小さくして生きるようになります。しかしそのような社会は、神から離れた社会です。互いに愛し合い、命を尊重し合うよりも、別の力や意思が優先されてしまっているからです。何よりも、神が「良し」としてくださった命の輝きが消されているからです。
 「火」を投じるために来た、と言われるイエスは、「その火がすでに燃えていたらと、どんなに願っていることか。」と言います。イエスのもたらす「火」は、裁きの火ではなく、信仰の火です。人々に信仰の火が燃えていたなら、十字架は不要でした。神から離れた世界に投じられた「火」は、本来の人間の姿を回復します。信仰の火をいただくなら、その命は神からの祝福に満たされ、「良し」とされた命が回復されるからです。しかしそうなると、これまでの神から離れた社会の有り様や関係性は変えられることになり、分裂が起こります。イエスは確かに平和をもたらすために来ました。しかし、まことの平和から程遠いこの世界では、イエスのもたらす「火」は、分裂をもたらすのです。
 ですから、イエスが来たから分裂が生じるのではありません。裂け目はもともと、神と人、そして人と人との間にあったのです。イエスがもたらした「火」によって、この裂け目が照らされたのです。「信仰の火」を拒む人間は、この裂け目を目の当たりにしても、「自分は正しく、排除されるべきは他者である」という思いから抜け出すことができません。その人間がイエスを十字架という「洗礼」へと追いやるのです。
 イエスは十字架によってこの裂け目を身に負い、神と人、人と人との間を結びます。そのために十字架に登られた方の姿を見つめるとき、私たちの裂け目は、神の愛を表す回復のしるしへと変えられます。イエスのもたらした「火」によって、私たちの裂け目が明らかにされます。しかし、その裂け目を結ぶ十字架という架け橋を知るなら、真の平和の源がどこにあるか、私たちは知ることになるのです。

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