18:28 2018/10/15 東京聖テモテ教会 - 主日の福音

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★太田信三 司祭による主日の福音

★主日の福音(2024年11月17日)
(聖霊降臨後第26主日、特定28、B年)「慌てない」(マルコによる福音書13:1-8)
 今日の旧約聖書、使徒書、福音書は共通して「終末」について語っています。終末というと何だか怖い、よく分からない、と感じる方もおられるかもしれません。たしかに終末は審判の時とされ、福音書で語られる終末も非常に恐ろしいものです。また終末はいつ訪れるかも分かりません。しかし確かなことは、イエスが「これらは産みの苦しみの始まりである」と言われるように、終末とは救いの時であるということです。それは大天使ミカエルが立つ時であり、「来るべき方」主イエスが来られる時です。何よりもその日は、主イエスが約束してくださった日ですから、終末はわたしたちに将来の希望を与えてくれます。
 今日の福音書でイエスは、終末に何が起こるのか、何に気をつけなければならないのか教えてくださっています。そのイエスのみ言葉から離れず、注意深く今を生きるなら、その先に終末の喜びが用意されています。この時、弟子たちに語られたみ言葉は、わたしたちにも語られています。主イエスが2,000年前に前もって語ってくださったことが、今を生きるわたしたちのことをも導いてくださるのです。教会の将来や信仰の歩みにおける不安の中で、偽メシアや偽預言者の言葉、さまざまな声に右往左往するのではなく、主イエスのみ言葉を聴き、「慌てず」に生きることを、主イエスはわたしたちに求めています。慌てず、いつもイエスのみ言葉に聴きながら今を生きるところに、必ず救いは実現します。

★主日の福音(2024年11月24日)
2024年11月24日(降臨節前主日、特定29、B年)「王なるキリスト」(ヨハネによる福音書18:33-37)
 大祭司もピラトも、自分の手を汚すこと無く、つまり問題の「外」に身を置いたまま、イエスの命を手のひらで転がすかのようにコントロールしようとしました。彼らはこの世の権威、つまり、法律、人種、国家や政治的立場といったものを身にまとい、自分を守っていました。それゆえ彼らは、イエスと「あなたとわたし」の素朴な関わりを持つことができませんでした。むしろ、身を守るあらゆるものを総動員し、自らを守ろうとしました。そこにあったのは、人間の普遍的な弱さとも言える自己保身であり、立場を手放すことができない欲望、プライド、そういうものです。人間は恐ろしいもので、そこが危うくなると強烈な防衛本能が働き、人の命を抹殺しても良い、とまでなってしまう生き物です。ことに当時の権力者が保身のために「人の命をどうにでもできる」という発想が起こっても不思議ではありません。
 その防衛本能の根底にあるものは何でしょうか。それは究極的には死への恐れです。人間はどんなに高尚な知識や言語を用いても、自らの存在を死から守ろうとするものだからです。立場を失う、権力を失う、それは確かに怖いことです。しかし、その恐怖が結びつく先は、存在がなくなってしまうことへの恐れです。死は闇であって、死後の世界で自分がどうなるか、確証がありません。人はどうしても確証を求めるものですから、確かなものを得て、安心したいのです。それゆえ、立場や権力により、自らを「確かさ」で固めて安心しようとします。ピラトも、大祭司もまさにその「確かさ」に身を包んでいます。そして同時に、その確かさが失われてしまうことが怖いのです。それゆえに自らを「外」に置いて、確かさが失われないように自分を守ります。ただ、そこにあるのは、究極的には闇であり、不安定さの象徴である死への恐怖なのです。
 福音が明確に示すことは、その恐れを砕くためにこそ、イエスはお生まれになった、ということです。そのことが、「わたしは真理について証をするために生まれ、そのためにこの世に来た。真理に属する人は皆、わたしの声を聞く。」というイエスの言葉に表されています。この後、イエスは十字架へと向かいます。そこにあるのは、高慢とは真反対の姿です。この世的な権威や「確かさ」を保証するあらゆるものを手放した姿です。たしかに、イエスは無力なままに、その十字架上で死んでしまいます。しかし、神はそのイエスをこそ復活させました。そればかりか、死をも滅ぼし、死への恐怖ゆえに人が身にまとっていた高慢さを砕かれたのです。ここに、死の恐怖から解放される道が開かれたのです。このことは取りも直さず、この世的な民族や法、政治…を言い訳や盾にすることなく、まったく素朴な関係として、つまり「あなたとわたし」という関係でイエスと交わることができる道が開かれた、ということです。存在が消える恐怖から解放されたなら、人間はこの世的な権威で自分を守ることからも解放されるからです。そうしてイエスと「あなたとわたし」という素朴な交わりに迎えられるところに、真理に至る道が開かれるのです。
 降臨節前主日は「王なるキリスト」と言われる主日です。この日にあって、自らが何を身にまとい生きているか省みましょう。イエスは十字架で死に、復活しました。まことの王は、私たちに本当の意味での解放をもたらしてくださる、このイエスです。
★主日の福音(履歴)

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