18:28 2018/10/15 東京聖テモテ教会 - 主日の福音

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★太田信三 司祭による主日の福音

★主日の福音(2024年6月30日)
(聖霊降臨後第6主日、特定8、B年)「ただ、信じなさい」(マルコによる福音書5:21-43)
 今週も先週に続き、奇跡の話しです。嵐を静めた神の力は、命をも支配します。人は時に、「これは神でも無理だろう」「神とて、死には勝てないだろう」という思うものです。ことに、苦しみや困難の中ではなおさらそう感じるでしょう。そのような時には、どのような説明も慰めの言葉も、力を持ちません。だからこそ、イエスは端的に、「タリタクム、起きなさい」「ただ、信じなさい」とだけ語るのです。そしてその端的な言葉によって、絶望の先、「もう終わりだ」の先の希望の光が、わずかにも差し込むのです。なぜなら、「これは神でも無理だろう」「神とて、さすがに死には勝てないだろう」という呼吸もできぬほど隙間のないところに、例外無き神の思い、つまり自分の中からは生まれることない神からの「可能性」が与えられるからです。神は例外なく、死を超えて、人を命の方へ、希望の方へと導く方であることを「ただ、信じる」道がそこから広がります。
 信じることが出来なかった人々へのイエスの要求はとてもシンプルなものです。「信じなさい」。先週の福音では、弟子たちは「恐れ」ゆえに信じることが出来ませんでした。彼らはこれまでにも、奇跡を見てきたし、教えも聞いていました。しかし、そんな弟子たちであっても、嵐を静めるイエスに恐れをいだき、「いったい、この方は何者なのだろう」という疑問を与えられました。自分の了解可能な範囲でイエスを捉えよう、またその背後にいつもおられる神を捉えようとしても、それは出来ません。神はわたしたちの想像や了解可能な範囲に収められるほど小さくないからです。だからこそ、旧約聖書では神に名前をつけることを禁じています。名前をつけた途端、神を名前の中に閉じ込め、自分の了解可能な範囲に引き下ろしてしまうからです。その神はもはや神ではなく偶像です。そうしないために、旧約聖書では、たとえば「熱情の神」などのように、「形容詞」によってのみ呼ばれます。そしてそのパターンは500以上にも及びます。それほどに、神は人間には捉えきれるものではない、ということです。
 今日の福音では、人々は「死」という現実に直面しています。死こそ、人間の了解可能な範囲外へと、身近な人が行ってしまう出来事です。だからこそ、人はその人との永遠の別離を感じ、深い喪失感に支配され、まして復活などということを信じることなど到底出来なくなってしまいます。わたしたち人間はどうしても、分かる範囲、想像できる範囲の中でしか、「信じる」ことが出来ないのです。しかし、わたしたちはあらためて立ち返りたいと思うのです。神を自分の了解可能な範囲に収めるのではなく、分かり得ないものとして、しかし必ずわたしたちに「命」を、「希望」を与えてくださる愛の神であることに立ち返りたいのです。神は時に人知を遥かに超えた方法によって、わたしたちを愛によって生かしてくださいます。

★主日の福音(2024年7月7日)
(聖霊降臨後第7主日、特定9、B年)「罠にご注意!」(マルコによる福音書6:1-13)
 主イエスは故郷に帰り、会堂で教えました。それを聞いた人びとは驚き、問いました。
「この人は、このようなことをどこから得たのだろう」
「この人の授かった知恵と、その手で行われるこのような奇跡は一体何か」
驚きと問いは、信仰の入り口とも言われます。驚きには自分のそれまでの考え方、価値観を破壊する力があります。そして生まれる「一体この人は何者だ?」「どういうことだ?」という問いから、主イエスが何者かを知る歩みがはじまります。主イエスの故郷の人々も、この問いを大切にし、忍耐強く問い続けたならば、主イエスが何者であるかを知ることができたはずです。
 しかし、人びとはイエスにつまずいてしまいました。「つまづく」という言葉は「罠にかかる、落とし穴にはまる」ことを意味します。神様や主イエスが罠を仕掛けたのではありません。「この人は大工ではないか」「マリアの息子で…」という言葉にあらわれているように、彼ら自身が自分の知識、価値観にとらわれ、主イエスを見誤り、罠に陥ったのです。
 誰かと出会うとき、性別や出自、学歴や社会的な肩書などの情報だけで相手を判断してしまっては、相手を正しく知ることはできません。それと同じように、自分の価値観に固執していては、主イエスを知ることはできません。既得の情報や価値観にとらわれて相手を素直に見ることができない、ということは誰しも経験があるのではないでしょうか。自分の内にもある、そのような「罠」に注意を払うことも、信仰の歩みにおいて大切なことではないでしょうか。
 不信仰とは、既得の情報や価値観にとらわれて相手や物事を自由に見ることができない不自由さです。それとは逆に、信仰はそのようなものにとらわれず、目の前の相手や出来事に素直に自分を開くことができる自由さです。イエスが弟子たちを派遣するとき、必要以上のものを持たせなかったのは、そういった色々なものにとらわれてしまうのではなく、空手で出掛けていくことこそが大切だったからでしょう。そしてさらに、二人ずつ遣わしたのは、一人の価値観や情報に固執するようなことがないよう、できるだけ自由でいるために「他者」が共にいることが必要だったからでしょう。私たち自身のありよう、私たちの歩みにおいても、あらためてこれらのことを心に留めたいと思います。

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