18:28 2018/10/15 東京聖テモテ教会 - 主日の福音

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★太田信三 司祭による主日の福音

★主日の福音(2024年3月24日)
(復活前主日、B年)「どこから十字架を見るのか」(マルコによる福音書14:32-15:1-47)
 毎年、復活前主日はエルサレム入場を記念して、礼拝の始めに棕櫚の行列を行います。わたしは子どもの頃、棕櫚を持って皆で教会の周囲や礼拝堂を歌いながら練り歩くことの特別感と、さらにどことなく明るい感じの聖歌も手伝って、「大斎節なのに楽しいな」と感じたことを覚えています。けれども、この日に読まれる聖書は一年で最も長く苦しい、ご受難の箇所です。楽しさと直後の受難物語という激しいギャップの礼拝です。しかしこのギャップこそがまさに、聖書が明らかにする人間のリアリティをよく表しています。エルサレム入場からゲッセマネ、そしてご受難は一週間ほどの出来事です。民衆は、イエスのエルサレム入場を歓呼で迎えました。しかし同じ民衆が、一週間後には「十字架につけろ」と叫び、イエスは十字架上で殺されるのです。なんと残酷な、人間の生々しい姿でしょうか。
 イエスは大声で叫び、息を引き取りました。十字架のそばに立っていた者たちは、この男はエリヤに助けを求めていると言い、イエスをからかい始めます。しかし百人隊長は、そのイエスの姿に神の子を見たのです。この百人隊長の反応こそが、わたしたち信仰者の姿でありたいと思うのです。イエスをからかった人々も、百人隊長も十字架の「そばに立っていた」ことは同じです。けれども、同じそばに立っていても、反応は対照的でした。同じ「見る」という行為であっても、かたや十字架は嘲笑の対象でしかありませんでした。けれども一方は、そこに神の子を見たのです。彼にとって、十字架こそが神の心が現されたしるしとなったのです。
 からかった者は、「そばに立って」はいても目をイエスには向けていませんでした。しかし百人隊長は「イエスの方を向いて、そばに立っていた」とあります。彼はただ十字架の「そばに立っていた」のではないのです。正面からイエスを見ていたのです。イエスの方を向く、イエスと向かい合って、十字架の死を正面から見る者には、十字架を通して語りかける神の声が聴こえる、ということです。イエスが洗礼を受けたときには、イエスにしか聴こえなかった「わたしの愛する子」という声。あの神の声が、その人には聴こえてくるのです。十字架のイエスと向かい合うなら、その人はその声を聞き、イエスを神の子として信仰告白できるのです。
 イエスが十字架につけられた朝9時頃から絶命する12時まで三時間。この三時間。神は沈黙し、イエスは孤独の只中にいます。弟子の裏切り。民衆の嘲り。そして、神にも見捨てられたと感じられる沈黙の三時間です。今日から一週間、わたしたちは聖週を過ごします。ことに金曜日の受苦日には、この沈黙の三時間に留まりましょう。イエスの孤独、負われた痛み、イエスをそこに追いやったわたしたち人間の姿…それらが痛いほどに、この沈黙のなかで語りかけてくることでしょう。この一週間、恐く、痛みを伴うことですけれども、この沈黙に身を置き、沈黙からの語りかけに耳を澄ましましょう。そして正面から十字架のイエスを見つめましょう。辛くとも正面から見つめることです。そうして、イエスを誠に「神の子」として信仰告白するものへ変えられましょう。その信仰告白の先に、ご復活の日の喜びが用意されています。

★主日の福音(2024年3月31日)
(復活日、B年)「あの方は復活なさってここにはおられない」(マルコによる福音書16:1-8)
 神の子、イエス・キリストは十字架につけられ、無力なまま死んでしまいました。すべては終わった。誰もがそう思ったことでしょう。遺体は引き取られ、墓に葬られました。墓の入り口は大きな丸い石で塞がれました。
 イエスの死を遠くから見守っていた婦人たちは、すぐにでもイエスのご遺体の近くに行きたかったのでしょう。安息日の翌日、日の出を待ってすぐ、墓の入り口の大きな石を誰かがどかしてくれないかと心配しながらも墓へ向かいました。しかしなんということでしょう。墓に行ってみると入口の大きな石が転がされているではありませんか。しかし、彼女たちがさらに驚いたのは、墓に座っている若者を見たときです。ひどく驚く彼女たちに白く長い衣をまとった若者は言いました。「驚くことはない。」
誰が驚かずにいられるでしょうか。しかし、若者は続けます。
「あなたがたは十字架につけられたナザレのイエスを探しているが、あの方は復活なさってここにはおられない。」
ここに、神によって現実がまったく変えられたことが宣言されました。死は終わりではなかった。絶望に囚われていた婦人たちの喜びはどれほどだったことでしょう。十字架という最悪の出来事の先に、最高の喜びが用意されていたのです。そしてこれこそ、イエスを通して神がわたしたちに示された究極の救いです。神は絶望の先に必ず喜びを用意して下さっている。最悪の先に必ず希望がある。このことをこそ、神は主イエスのご復活を通して示し、約束さしてくださったのです。白い衣を着た若者はさらに言いました。
「さあ、行って、弟子たちとペトロに告げなさい。『あの方は、あなた方より先にガリラヤへ行かれる。かねて言われていた通り、そこでお目にかかれる。』」
 若者はペトロだけを名指ししました。あのイエスを裏切った、弟子の代表であったペトロ。このペトロが名指しされたのは、ご復活のイエスは、裏切った弟子たちとの関わりを断つどころか、彼らを赦し、なおも関わりを求められているからに他なりません。なんという恵みでしょうか。ご復活の出来事とは、神の絶対的な赦しをもわたしたちに約束してくださった出来事なのです。わたしたちが神から離れ最悪の状況へと迷い込もうとも、神はわたしたちのことを必ず赦し、神とともにある命へと招いてくださる。そしてその先に用意されている喜びへと導いてくださる。これが、ご復活によって約束されたことです。わたしたちが絶対に赦されること、絶望の先に希望が用意されていることが約束された出来事、主イエスのご復活を心から祝いましょう!
キリスト復活!実に復活!

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